一般社団法人 日本医療情報学会

[3-E-1-04] 胸部単純レントゲン写真の肺野のセグメンテーション

王 博文1 (1. 大阪大学大学院医学系研究科医療情報)

deeplearning, segementation, x-ray

胸部単純レントゲン写真(ChestXp)は、高頻度で撮られるが、多くの臓器が重なって映し出されるため、その読影はむしろ難しい。一方、放射線科医は、撮像される画像検査数に対して相対的に不足である。深層学習の技術を応用してChestXpの自動診断ができると、一般医の読影による見落とし等が防止できる可能性がある。深層学習を応用するためには、大量の学習データが必要となるが、過去画像に対して異常陰影に印を付ける方法で学習データを作成することは放射線科医の負担となり、律速段階となる。そこで、ChestXpの診断レポートから、Information Extractionの方法で、部位と所見の種類を抽出し、これを教師として自動診断のための学習する方向で本課題に取り組む方針とした。
本研究は、レポートから抽出した部位に相当する領域をセグメンテーションが可能かを肺の領域について調べることを目的としている。
セグメンテーションタスクのために、深層学習モデルU-netを使用した。セグメンテーションの領域設定は、CITECの規格に従って作成し、左右肺の肺尖部、上肺野、中肺野、下肺野の8つの部分に分けた。画像データは、DICOM形式から256 x 256サイズのPNGに圧縮変換した。250枚の学習および評価用のデータを手作業で作成した。学習データについて4倍のデータ増強を行った。
テストの結果、全体ピクセル精度は0.951であった。肺尖部、上肺野、中肺野、下肺野のIOU(Intersection over Union)値はそれぞれ0.866、0.872、0.846、0.812であり、かなりの精度でセグメンテーションが可能であることが確認できた。
本法のセグメンテ―ションで得られたmask情報に従って、オリジナル画像から高解像度のデータを取得し、これを識別CNNモデルのデータとして、次の学習ステップに進める計画である。