Japan Association for Medical Informatics

[3-F-1-01] 医療環境における5GHz帯レーダー波による無線LANへの混信障害の可能性と家庭用アルミ箔遮蔽による実効的対策の検証

山田 篤人1 (1. 公立西知多総合病院)

5GHz, Wireless LAN , Aluminum, Radar, Shield

【背景】保健医療福祉関連施設側でのレーダー波の医療情報無線LANへの干渉による障害報告とその対策への有効な報告は少ない。

【目的】5GHz帯無線LANシステムに組み込まれているレーダー波に対する混信回避仕様DFSによる通信の途絶を想定し、実フィールドにてその混信実態を可視化し、簡易的な方法として家庭用アルミホイルでのレーダー波遮蔽を検証する。

【方法】公開されている5GHz帯レーダーよりDFSの影響を受けると考えられる電波混入状況を、スペクトロアナライザーで計測し、観測用アクセスポイントでのログを得る。同様に、家庭用アルミホイルによる遮蔽効果を観測する。

【結果】公立西知多総合病院(以下、当院)病棟内で、近隣において公開されている常滑市の中部国際空港の航空気象ドップラーレーダー(5260MHz)と名古屋市千種区の気象庁気象レーダー(5360MHz)からの混入が認められ、無線LANのW53の52chと通信障害が起きる可能性が示唆された。高層階になるにつれてより強い外来レーダー波が観測されることも確認できた。これを回避すべく、院外より入射するレーダー波を実効的に遮蔽する方法として、市販の家庭用アルミ箔を用いることが有効であることを実証した。

【考察】家庭用アルミ箔による遮蔽が有効であることが実証されたことは、医療情報システムの無線LANにおけるレーダー波混信障害からの低コストかつ実効的な簡易回避方法として期待される。また、その他の電波からの混信対策にも応用出来よう。

【結語】無線LANの安定化根本的対策については現状の保健医療福祉関連分野での電波環境を整理するとともに、施設建築時の電波環境対策の指導強を化し、究極的な安全対策には保健医療福祉分野専用周波数帯の割当てが望まれよう。