Japan Association for Medical Informatics

[3-F-1-05] 当院におけるロボット搬送システムの状況

山下 暁士1、山村 秀弥2、宮城 英毅1、白鳥 義宗1 (1. 名古屋大学医学部附属病院 メディカルITセンター, 2. 株式会社豊田自動織機 物流エンジニアリング部企画室)

Robot, Automatic Transport System, Safety, Efficacy

【目的】自律型移動ロボットを用いた搬送システムの実証実験を行ったので、その状況を報告する。

【方法】当院では2018年2月、新棟4階にある外科系ICU(以下SICU)の開設に合わせて、その夜間の物流需要を賄うためにロボット搬送システムの実証実験を開始した。自律型移動ロボットとその運行管理システムの開発は豊田自動織機が行い、当院はロボットが移動できるための最低限の施設の改修と運用体制の構築を行った。

第1期の共同研究は院内で安全に使用できるか・業務に耐えられるかの検証と、将来に向けた課題の抽出を目的とした。搬送はSICUと検査部、薬剤部間で実施し、稼働時間は人通りの多い日勤帯を避け、17時から翌8時までとした。

【結果】2018年2月から翌年1月までの1年間で、SICUから検査部への搬送件数は3162件、輸血部・検査部からSICUへの搬送件数は1556件、薬剤部からSICUへの搬送件数は519件であり、1日当たりの搬送件数は14.6件であった。搬送中の患者やスタッフへの衝突は1件もなく、搬送中の衝突などによる器物の破損などはなかった。

実際に使用しているスタッフへの聞き取り調査の結果、搬送システムに対する評価はおおむね良好であった。ユーザーの意見として、日勤帯にも使用したいが最も多かった。課題としては、安全性のため障害物から十分な距離をとって回避しており、進路に多くの障害物があると回避行動がとれず止まってしまうことがある。日勤帯で使用する場合、搬送路に多くの人がいる可能性が高く、多くの障害物の中でも止まらずに回避できるようにしていく必要がある。

【結論】当院にて自律型移動ロボットを用いた搬送システムの実証実験を行った。実証実験の結果はおおむね良好で、安全性、実用性は十分確認できた。今後はさらなるシステムの改良を行い、より広範な病院内搬送業務に使用できるシステムを構築していく予定である。