Japan Association for Medical Informatics

[3-P2-1-04] DWHを利用した退院サマリ評価 ~退院サマリ作成と送付の緊急再入院に対する影響~

松本 武浩1,3、田浦 直太1,3、臼井 哲也1、牛嶋 拓也1、本田 千春1、大伴 哲治1、西口 真由美1,2、堀田 ほづみ1,2、長友 佳織1、和田 貴寿1、伊藤 眞由美1、中尾 一彦1 (1. 長崎大学病院 医療情報部, 2. 長崎大学病院 看護部, 3. 長崎大学病院 総合患者支援部)

DWH, Discharge Summary, Quality of Medicine, the emergent readmission, EHR

【背景】病院完結型から地域完結型医療への移行に伴い、継続治療が必要な逆紹介が増えている。この際、適切な継続診療に向け診療情報共有が必要であるが、入院診療の概要たる退院サマリ(以下サマリ)の第三者評価でも退院後二週間以内作成が基本であり、サマリ送付は確実と言えない。海外の報告では、サマリ作成が早期であるほど早期再入院率は低いとされているが本邦で同様の検討は乏しい。

【目的】サマリの送付状況と再入院への影響を評価する。

【方法】2016年4月より2019年3月までに長崎大学病院を退院した患者57,374名に対しDWHを利用して、退院日時点のサマリ完成例と退院後サマリ完成後に診療情報提供書が作成されたものをサマリ送付例としその数、率に加え、退院後2週間以内の再入院数を比較した。統計解析はカイ二乗検討を利用した。

【結果】退院日までのサマリ完成率は29.6%、退院後サマリ完成後の診療情報提供書作成率は17.2%、両者を合計しサマリ送付例は46.8%(26,835/57,374)と考えられた。これに対し2週間以内の同一診療科再入院数は1,433例(2.50%)、サマリ送付例では844例(3.14%)とサマリ送付例の再入院数が多かったが(p<0.01)、緊急入院での2週間以内の同一診療科再入院数は994例(1.73%)であり、サマリ送付例では220例(0.82%)と有意に少ない結果が得られた。(p<0.01)

【考察】本結果より退院時あるいは退院後の退院サマリの送付は早期の緊急再入院を減少させる効果が認められた。緊急以外がむしろ高いのは短期の予定入院を含んでいるものと思われる。しかしながらその送付率は46.7%であり、これを100%に近づける上で地域医療情報システム等の利用が有効なものと考えられた。