Japan Association for Medical Informatics

[4-C-1-01] DPCデータと業務時間調査を用いた看護量予測システムの開発

高木 千晴1、高橋 剛志1、澤本 幸子2、阪口 博政3、武藤 正樹4、小川 俊夫4 (1. 国家公務員共済組合連合会横須賀共済病院, 2. 社会福祉法人親善福祉協会国際親善総合病院, 3. 金沢大学人間社会研究域経済学経営学系, 4. 国際医療福祉大学大学院)

DPC data, working hours survey, nursing hours, direct and indirect nursing services, nursing amount prediction system

【目的】病院の各病棟における看護サービスの提供に要する業務時間数(以下、看護量)を予測することで、看護師の適正配置の実現に繋がると考えられる。これまでに、看護量の把握を目的とした業務時間調査は実施されているが、その結果は看護師配置の検討には十分に活用されておらず、また適正配置を目的とした看護量予測システムは存在しない。そこで本研究は、DPCデータと業務時間調査を用いた看護量の推計手法を検討し、看護量予測システムの構築について考察することを目的として実施した。

【方法】分析対象のA病院で2016年2月1〜7日に実施した看護師を対象とした業務時間調査より、一般病棟(602床、全15病棟)における看護師が日勤帯に提供した看護量を直接看護と間接看護に区分して集計した。次に、同時期の在院患者のDPC データを用い、患者を疾病名と入院日、退院日、手術日、その他のイベント種別で類型化し、直接看護にかかる業務時間数を各区分で推計した上で、間接看護を含む日毎・患者毎の看護量を試算した。さらに、業務時間調査とDPCを用いた推計結果を病棟・病院全体で集計し、比較を行った。

【結果】A病院における総看護量は、業務時間調査による集計値は579,105分、DPCを用いた集計値は574,604分と推計され、ほぼ近似した結果となった。病棟ごとでも、半数以上の病棟で双方の看護量の推計値がほぼ近似した。

【結論】本研究により、DPCデータを用いて入院患者ごとに推計し集計した病院全体の看護量が、業務時間調査による看護師ごとの看護量の集計値とほぼ近似した結果が得られたことから、入院患者の疾病名と日々のイベント種別から病棟あるいは病院全体の看護量をある程度正確に推計できることが示唆された。今後推計手法の精緻化と他施設への適用の可能性の検討等を行い、本研究の成果を活用した看護量予測システムの実用化を検討したい。