Japan Association for Medical Informatics

[4-E-1-01] ビーコンを活用した安心安全な医療提供に関する研究

石井 雅通1、美代 賢吾1、石割 大範1、濱 裕美子1、川村 浩二2、新内 毅2、井上 和義3、中林 慶一4、太田 雅也5 (1. NCGM(国立国際医療研究センター), 2. 富士通エフ・アイ・ピー株式会社, 3. 富士通株式会社, 4. 富士通ネットワークソリューションズ株式会社, 5. 日新電設株式会社)

Beacon, Information Sharing, Push-type information dissemination

【背景】個人情報への配慮から病棟の名札等を廃止する医療機関が増加するなかで、夜勤対応等の必要に応じて担当外患者の情報をどの程度事前把握するかは医療従事者の自主判断に任されて、情報アクセスに対する責任や負担が日々増加している。本研究では従前のPULL型情報検索に対して、PUSH型の情報配信環境を提供することで医療従事者の負担を軽減し安全安心な医療の提供へ貢献することを目的としている。

【方法】病室入り口に微弱電波発信のビーコンを設置し、病室コードとビーコン電波に含まれる識別コードを予め紐づけておき、電波受信を情報通知の契機として医療従事者の携帯端末に気づき情報をプッシュ型情報配信する。振動通知のバナーをフリック操作して気づき一覧を表示し、項目のタップにより詳細確認が可能である。共有情報を医療従事者自身が追加し、登録する機能も提供する。特定の病棟でプロトタイプシステムによる実証実験を実施し、利用者ログ解析による利用状況の検証を踏まえて、利用者アンケートを用いてシステム評価を行う。

【結果】個室中心の病棟患者24名から同意取得し、看護師15名が参加し、12日間実証実験を実施した。事前登録の気づき情報は延べ28件、ビーコン受信は2990回発生し、気づき一覧画面確認は延べ65回、気づき情報の詳細確認は延べ18回発生した。アンケート結果より操作性は77%が分かり易いと評価した。振動通知に75%が気づき、通知タイミングは64%が適切と回答した。通知自体が不要とした利用者は45%、振動通知のOFF設定は50%となった。

【考察】気づきのプッシュ通知は想定通り実現し一定の効果が確認された。夜勤消灯後の通知方法及び不要な再通知への対策が必要と判明した。今後は電子カルテ運用と連動した情報共有について更なる検証が必要と考える。

【結論】ビーコン活用による安心安全な医療提供への可能性が提示された。