Japan Association for Medical Informatics

[4-E-1-05] 重要所見レポートの見落とし防止に向けた対策と有効性の検証

藤井 歩美1、武田 理宏1、村田 泰三1、橋本 麻紀子1、向井 頼貴1、真鍋 史朗1、松村 泰志1 (1. 大阪大学医学部附属病院医療情報部)

diagnostic imaging reports, incidental finding, alert system, audit

【はじめに】昨今、画像診断レポートの見落としが問題となっている。患者予後に影響を与える重要所見の見落とし防止には担当医の意識に頼るだけでなく、院内全体で取り組む必要がある。当院ではシステムを活用し、担当医、放射線読影医、診療情報管理士らの協力を得て、見落とし防止の対策を図った。

【方法】2016年1月より放射線読影医が予期せぬ重要所見と判断した場合に、画像診断レポートに重要フラグを付与し、担当医に電子カルテシステムの機能を用いて通知する仕組みを構築した。担当医はレポートを確認後、通知を消去する。2018年7月からは診療情報管理士が重要通知の未消去リストの抽出を行い、診療科に報告する運用を開始した。さらに2019年1月分より重要フラグが付いた画像診断レポートについて、診療情報管理士が全件、患者カルテを閲覧し、適切な対応がとられているか監査を開始した。

【結果】2018年一年間の放射線、内視鏡、超音波検査レポートは167,150件で、重要フラグ発生は316件(0.002%)だった。重要通知の2か月以内の消去率は、未消去リストを配布する以前の6か月は90%だったが、配布後は94%になった。カルテ確認を開始した2019年1月から5月までの重要フラグは107件で、9件(うち5件は重要通知は消去済)が診療科への確認が必要だった。

【考察】当院では、放射線読影医が重要フラグを付与することで、担当医の見落とし防止の対策としている。担当医以外が画像診断レポートを全件確認するには膨大な労力を有するが、重要フラグをキーにすることで診療情報管理士が対応を確認すべき対象患者を明確にすることができた。

【結語】重要所見レポートの見落とし防止には、システムによる支援と多職種による支援が有効であった。