一般社団法人 日本医療情報学会

[4-E-3-05] 千葉県内臨床研修病院および診療所における電子カルテと連携する音声認識システムに関するニーズ調査

野田 和敬1、生坂 政臣1、伝 康晴2、鈴木 隆弘1、大平 善之3、上原 孝紀1、島井 健一郎1 (1. 千葉大学医学部附属病院, 2. 千葉大学人文科学研究院, 3. 国際医療福祉大学)

speech recognition, electoronic medical record, need investigation

【背景】診療業務の効率化を達成するひとつの手段として電子カルテと連携する音声認識技術の活用に期待が寄せられており,まず音声認識技術に対する現場のニーズを把握することが重要である。我々が調べた限りでは国内の医療者を対象として電子カルテと連携する音声認識システムのニーズについて調査した報告は見当たらなかった。そこで平成29年度の全国特定機能病院85施設への調査1に続き,より幅広い層からの回答を得るため,平成30年度には千葉県内臨床研修病院および診療所を対象として調査を実施した。

【目的】千葉県内臨床研修病院および診療所に勤務する医師・看護師を対象としたアンケート調査を実施し,音声認識システムに対するニーズを明らかにする。

【方法】千葉県内臨床研修病院35施設および千葉県内診療所500施設に勤務する医師・看護師に,それぞれ郵送法にて依頼しインターネットで回答を収集した。

【結果】臨床研修病院への調査では,回答者数は125名,回収率は20.8%で,医師(または歯科医師)において要望が高かったのは,「電子カルテの特定の項目を呼び出す」,「カンファレンス等の会議録をテキスト化する」,「救急対応時の処置等を記録する」,「処置中にCT画像などの閲覧操作をする」であり,平成29年度の調査と概ね一致していた。診療所への調査では,回答者数は95名,回収率は9.5%で,医師(または歯科医師)において要望が高かったのは,「問診・医療面接の内容をそのままテキスト化する」,「患者への病状説明をそのままテキスト化する」であり,医療面接や病状説明をそのままテキスト化する要望が特に高かった。

【考察】比較的大規模な病院では『音声でのカルテ操作』に対する要望が最も高く,診療所では医療面接等の『会話の記録』を目的とした音声認識技術への要望が高い傾向があった。
1) 野田和敬ら. 医療情報学2018: 38(Suppl.); 316-20.