Japan Association for Medical Informatics

[4-F-3-02] クリニカルパスと診療テキストを用いた糖尿病併存胃がん患者のPatient Reported Outcome指標の検討

山下 貴範1、伊豆倉 理江子1、野尻 千夏1、野原 康伸1、中島 直樹1 (1. 九州大学病院)

Patient Reported Outcome, Clinical Pathway, Dependency parsing, Electronic medical record

【背景】近年、糖尿病有病者のがん罹患率が高いことが明らかとなった。糖尿病の併存は、がんの治療成績を下げ、生存に関する予後が悪く、合併症のリスクが高く、化学療法の効果が下がるとの報告がある。糖尿病併存のがん患者は非併存患者に比べ、病態や治療に伴う症状・機能・QOLの変化が大きいと推察される。この状態の把握には、患者自身の主観的指標:Patient Reported Outcome (PRO)が重要となるが、本邦では、質の高いPRO指標が実用化されておらず、糖尿病併存がん患者への信頼性・妥当性の高いPRO指標はない。
周術期の過程において、治療方針やアウトカム指標はクリニカルパス(以下、パス)で一元化されつつあるが、現行のパスのアウトカム評価は医療者視点のため患者発信の情報収集は困難であり、それらは自由文の診療テキストに記載されている。本研究では、胃がん患者を対象としてパスと診療テキストからQOLの向上を目指した経時的なPRO指標を検討する。

【方法】九州大学病院における2013年から2018年の胃がん症例のパスと診療テキストデータを対象とする。当院のパスは、アウトカム志向型パスを運用しており、患者状態や患者アウトカムが構造化データとして蓄積される特徴を持つ。診療テキストは、医師記載の経過記録と看護記録のSubjective、Objective項目を抽出した。各データを入院日や手術日を考慮した時系列変数として整理した。さらに糖尿病併存、非併存で分類し機械学習を用いて、特徴語を抽出した。

【まとめ】胃がん患者のPROとしての自覚症状や機能などに関連する語を対象にして、時系列推移と糖尿病併存患者の特徴語を評価した。その結果とQOL評価のEORTC QLQ-C30やSF-12などと比較を行い、PRO指標として考察した。
今後は、本結果を用いて電子版PRO(e-PRO)評価ツールを開発する予定である。