Japan Association for Medical Informatics

[4-I-1] 令和時代のシステムリプレース -診療現場からのレポート-

岡垣 篤彦1、山本 康仁2、深澤 真吾3、吉田 茂4、太田原 顕5、木村 哲也6 (1. 国立病院機構 大阪医療センター、2. 東京都立広尾病院、3. 社会医療法人蘇西厚生会松波総合病院、4. 医療法人葵鐘会、5. 労働者健康安全機構山陰労災病院、6. 京都府立医科大学)

Reintroduction, Hospital Information System, On-Site-Report

 令和元年〜令和2年は病院情報システムのリプレースラッシュとなっているとのことである。電子カルテが認可されてから20年となるが、個人情報保護の重要性が高まるなどの社会情勢の変化やそれに伴う法的規制、働き方改革、技術的進化などにより、大きな変化が起きている。このような中でシステムリプレースやシステムの機能強化を行なっている医療機関において、現場で働く医療スタッフのユーザー視点を中心に、病院情報システム更新に伴う問題点の報告を行ない、克服すべき障害や、更新に当たり注意すべき点、更新の勘所など現実的な問題点について議論する。各発表内容の概略を以下に示す。
 地域連携の標準化が不十分であった事例をユーザー視点から指摘することにより電子カルテ本体の標準機能として機能追加要求した。
 重症システムの導入では通常システムに加え操作を覚えることについて外科系診療科の反対が強かったが、同一病棟でのシステム多重化の危険性を重視し、操作性の改善で対応した。一般病棟との移動の際、指示や薬剤が自動で移行できない点も問題となり改善を行なった。
 クラウドを用いたWebシステムで勤怠管理システムを構築して費用の削減と正確さを向上させたほか、薬品保管庫の温度遠隔管理システムを構築した。
 複数施設を広域に擁する医療法人におけるクラウド型医療情報システムの展開構築の経緯と今後の展望について報告する。
 システム導入にあたり、電子カルテパッケージに対する「カスタマイズ」はシステム移行を困難にさせ、機能向上の障害になっており、また更新時期が異なると、サブシステムは本来の性能を発揮できないこともある。医療者作成の支援システムを追加して、リプレースにまつわる問題を軽減した。
 大学付属病院の大規模システムの調達における予算削減のために個別調達を行なうなど、さらに看護の省力化、既読管理、TODO機能を用いた汎用連携などの様々な工夫を行なった。