Japan Association for Medical Informatics

[4-P2-1-03] 電子カルテシステム障害時における代替システム構築と外来診療継続の試み

吉野 絢祐1、坂田 普1、福島 美羽1、髙橋 友利恵1 (1. 地方独立行政法人 新小山市民病院)

Hospital Information System, PHP, BCM

【背景】当院では2018年にシステム障害により約1時間、外来診療が中断した。障害時対策として、ホットスタンバイ構成をしていたが稼動せず全サーバがダウンした。また、紙伝票も用意していたが、実態に沿っておらず、職員対応も未熟な面が浮き彫りとなった。

【目的】障害発生時、特にネットワーク障害は、患者情報が確認できず紙伝票の用意だけでは患者対応が困難になる。復旧不可の場合でも、再診患者は可能な限り診療継続できる環境を構築する。また、構築したシステムを職員は操作を習得し、診療継続を可能とする。

【方法】はじめに、障害対応マニュアルの見直しを行った。システム構築はサーバ不具合とネットワーク不具合の2通り用意し、データは診療予約、検査予約、前回カルテ記載、前回処方歴等を対象とした。サーバ不具合の場合、翌日受診予定患者1日分のデータを電子カルテ(ソフトウェア・サービス社Newton2)のSQLServerからWebサーバへ保存、PHPで構成し閲覧する。ネットワーク不具合の場合は、取得したデータを各電子カルテ端末のローカルフォルダに保存、VBAにて構成し閲覧する。データは、蓄積せず上書きされる。評価は、①受付②検査③診察④処方⑤診察予約登録⑥会計 以上6項目について診療継続可能かを検証した。

【結果】①受付~④処方について、サーバ稼働時と同等の運用ができるわけではないが、診療継続できた。⑤診療予約登録は予約枠更新が必要となるため、システム構築せず、運用で対応する。⑥会計は、後日としシステム構築は行わない。

【考察】本システムは、PCとプリンターが起動できる電力さえあれば、再診患者に対し、一定の診療が継続できた。1日平均600人の再診患者に対し、全項目ではないが①~④が行えたことは、外来診療継続の代替システムとして有効性が確認できた。今後、本システムを用いた訓練を定期的に開催し運用可能にしていく。