Japan Association for Medical Informatics

[4-P2-2-02] 電子カルテデータを活用した外来患者待ち時間の調査

松山 龍之介1、野口 怜1、鳥飼 幸太1、齋藤 勇一郎1 (1. 群馬大学 医学部附属病院システム統合センター)

Waiting time analysis, Outpatients, Electronic medical records, Visualization

【背景・目的】群馬大学医学部附属病院では近年、診療科間の連携や検査の増大に伴い、外来患者の検査や診察における待ち時間の長時間化が大きな課題となっている。患者の負担軽減のためにも待ち時間改善は不可欠であるが、いかに実態を正しく把握して院内業務の改善に繋げられるかが極めて重要となる。そこで本研究では、待ち時間改善に向け、対策を施すべき診療科やボトルネックに関する知見を得るために、電子カルテデータを活用して、検査・予約待ち時間を当院で初めて詳細に可視化することを目的とした。

【手段】2019年3月1日~31日を対象とし、再来受付機データ、電子カルテ内の検査オーダデータ、診察データ(カルテの開閉時刻)を活用した。再来機受付時刻から最も早い検体検査までの時間を「検体検査待ち時間」、診察予約時刻と実際の診察開始時刻(カルテを開いた時刻)との差を「予約待ち時間」として、診察件数の多かった28科を対象に、平均待ち時間をそれぞれ算出し可視化した。また、予約待ち時間については、大局的な傾向を把握するために、2015年~2018年度までの年次平均の推移も可視化した。

【結果】検体検査待ち時間の全診療科平均は36分(N=4,760)であったが、最も長い診療科は192分、最も短い診療科では17分と値は大きくばらついた。一方、予約待ち時間においても、全診療科平均は51分(N=24,932)であったが、最も長い診療科159分、最も短い診療科は3分と診療科によって大きく傾向が異なることが明らかとなった。また、予約待ち時間の年次別推移では、独自の取組みにより年々改善している科もあった。

【結言】電子カルテデータを活用して、詳細な待ち時間の可視化に成功し、対策を施すべき診療科も明確化された。今後は当該診療科に焦点を当て、ボトルネックの絞込みに向け、予約内容や予約数、検査内容などとの連関性を詳細に分析したい。