Japan Association for Medical Informatics

[2-B-1-02] 医療情報連携ネットワークの課題から探る今後の在り方

*Tetsu Suzuki1,2 (1. 株式会社ストローハット, 2. 慶應義塾大学SFC研究所)

EHR, Regional Health, Interprofessional Collaboration, Evaluation Index


(1) 背景と目的
2010年代以降、地域医療再生基金や地域医療介護総合確保基金を財源として多くの医療情報連携ネットワークが全国各地で導入され、その普及は確実に進んできた。しかしながら、導入後の年月経過とともに、利用低迷、費用対効果についての課題が顕在化しており、その在り方を問い直す必要性が高まってきた。そこで本研究では、医療情報連携ネットワークの利用サービスを提供する側の視点から医療情報連携ネットワークの現状を整理するとともに、課題を抽出した。それらを構造的に整理することにより医療情報連携ネットワークの今後の在り方を提示した。
(2) 方法
医療情報連携ネットワークはその目的、利用者、運営組織、財源等により、地域医療連携システムと多職種連携システムという2つのシステムに分類できる。本研究では先ずこの2つのシステムの違いを明確化するとともに、それぞれの課題を整理した。更にこの2つのシステムが地域内で別々に運営されていること、混同して評価されるこ
とに起因する複合的な課題を整理した。
(3) 結果
課題の構造的な整理に基づき、昨今の災害発生、感染拡大状況や、オンライン診療の普及、ガイドラインや施策等の国の動向を踏まえ、医療情報連携ネットワークが地域の情報基盤として有するべき社会的機能として、1)地域内の医療・介護従事者が直接的なメリットを享受できる情報基盤、2)災害時・救急搬送時に参照できる情報基盤、3)社会保障費の削減に資する情報基盤であることの必要性を導き出した。
(4) 考察
その上で、医療情報連携ネットワークが地域の情報基盤として有するべき社会的機能を獲得するための具体的なアプローチとして、必要なシステム機能、組織運営、法律およびガイドラインの整備等についての今後の在り方を考察した。
(5) 結語
本研究を通じて医療情報連携ネットワークの今後の在り方を提示することにより、各地域の医療情報連携ネットワーク運営の課題解決に寄与する。