Japan Association for Medical Informatics

[2-C-1-04] SS-MIX2データ利活用の変遷

*Takanori Yamashita1, Naoki Nakashima1 (1. 九州大学病院メディカル・インフォメーションセンター)

SS-MIX2, Real world data, Electronic data capture,, Data quality management


九州大学病院では、2010年度にSS-MIXを導入し、SS-MIX2に移行後も利活用事業が増えている。
SS-MIX導入初期には、情報検索の対象としてSS-MIXの病名・検査値・処方に加えクリニカルパスを対象としたデータ抽出を充実させた。2012年度には、国立大学病院災害時バックアップ事業が開始され、SS-MIX2と医事会計データが東西のデータセンターに格納された。災害時に備え電子カルテ以外の機能で診療データの閲覧が可能となった。
2013年度からMID-NETが始まり、2014年度以降には日本循環器学会のJ-Impactや日本糖尿病学会のJ-DREAMS、日本腎臓学会のJ-CKD-DBなどの臨床学会主導のデータベース事業において、Electronic Data Captureのデータ源としてSS-MIX2が採用された。この時期が解析型SS-MIX2利活用への移行期である。MID-NETは2018年度に本格稼働したが、データ品質管理作業と継続の必要性を明らかにし、世界的に類を見ないほど標準化を備えた医療情報データベースとして構築された。臨床学会事業においてもデータ収集や標準コードマッピングなどの課題を経験した。この時期に、リアルワールドデータ(RWD)利活用におけるデータ品質管理の重要性が認識され始めた。
医療技術実用化総合促進事業「Real World Evidence創出のための取組み」(臨中ネット)では、臨床研究課題に対応する基盤のためのデータ源の一つとしてSS-MIX2を用いるが、先行事例を参考にデータ品質管理手法を検討している。日本HL7協会の適合性検証サービスでは、SS-MIX2の文法的な品質チェックも可能となった。
SS-MIX2は、エビデンス創出のために検索・閲覧型、解析型、データ品質管理を経験し、国内標準を推進しているが、最近では国際標準との連携や規格化を目指している。