一般社団法人 日本医療情報学会

[2-D-2-01] 電子クリニカルパスに導入した退院指示自動化の効果

*松本 武浩1,2,3、田浦 直太1,3、臼井 哲也1,5、木下 琢也1,2、大伴 哲治1、西口 真由美1,4、堀田 ほづみ1,4、長友 香織1、伊藤 眞由美1、中尾 一彦1 (1. 長崎大学病院 医療情報部, 2. 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 医療情報学, 3. 長崎大学病院 メディカルサポートセンター, 4. 長崎大学病院 看護部, 5. 長崎大学病院 検査部)

Electronic Clinical Pathway, Hospital information System, Electronic Medical Record, Hospital Management


【背景】わが国の入院日数はDPC導入以降、確実に減少している。また、安全で確実な入院日数減少のためにはクリニカルパス(以下パス)が有効である。長崎大学病院はNEC社製MegaOak HRの電子パスを利用しているが、パスに退院指示が未実装だったため改修し、2017年9月よりパス設定日数による退院指示を自動化した。なお、本院のパス日数は入院期間II以下に設定している。
【目的】退院指示自動化の効果を評価する。
【方法】2017年度の本院医科の退院患者に対し2017年4月~8月(前期)および同年11月~2018年3月(後期)の平均入院日数および入院期間II内退院数をパス利用の有無で比較した。
【結果】前後期のDPC算定入院はパス有で2,542人と2,643人、パス無で4.081人と4,135人であり、それぞれの平均入院日数はパス有で11.4±15.0日と11.1±16.0日。パス無では16.3±17.5日と16.6±18.6日だった。一方、DPC入院期間II内の退院数はパス有で1,725人(67.9%)および1,964人(74.3%)と有意に増加がみられたが(p=0.035カイ二乗検定)、パス無では2,354(57.7%)および2,461(59.5%)で有意差は認めなかった。
【考察】DPCの入院期間IIは定期的に短縮されているが、収益面では入院期間II内退院が有効であり、多くの医療機関が入院期間II内退院増を目指している。しかるに安易な入院日数短縮は危険であり、安全面が監査されたパス利用が有効である。退院指示を自動化した結果、入院期間II内退院数が有意に増加した。本来、医師が適切に退院を指示すべきであるが、医師任せでは容易でないことが示唆された。