Japan Association for Medical Informatics

[2-D-3-02] AI問診システム導入前後の診察待ち時間と病院滞在時間の変化

*Yoshihiro Sakakibara1 (1. 岡山旭東病院)

AI, Medical Consultation, Waiting Time, Stay Time


【はじめに】

当院は病床数214床、約500人の職員が働く脳神経運動器の専門病院である。2020年1月17日よりAI問診システムの運用を開始したので、その効果について報告する。



【目的】

従来の問診は、①患者が紙の問診票に記入、②受付で電子カルテにスキャン取込、③診察室で医師が問診内容を電子カルテ入力という流れで、業務負荷が高かった。所要時間の短縮など関係者の負荷軽減のために、AI問診システムを導入した。



【方法】

紙の問診票を廃止し、問診入力用タブレット端末を5台導入。タブレット端末ではAIが患者の症状に応じて質問を自動作成。患者がタブレット画面にタッチする形で選択式の質問に答えていくと問診が完了し、AIが自然言語処理によって自動的に問診結果をカルテ記載可能な文章に変換。問診結果は電子カルテ画面に専用ボタンを配置してワンクリックで表示できるようにした。



【結果】

運用を開始した2020年1月について、導入前(16日まで)と導入後(17日以降)の初診患者の待ち時間と病院滞在時間を比較。平均待ち時間については、導入前53.4分に対して導入後は49.9分と3.5分短縮。受付から会計終了までの平均病院滞在時間についても、導入前189分に対して導入後は168分と21分短縮という結果となった。外来看護師からも診察室側で以前より早く問診内容が電子カルテ画面で確認できるようになったという声が聞かれた。また、患者からも以前の手書き問診票よりタブレット入力の方が楽、必要なことを聞いてくれるので安心という声が聞かれた。



【結論】
AI問診システムの導入により、患者と職員双方の問診にかかる時間が短縮され、対象患者の待ち時間も短縮することができた。また、従来の定型的な紙の問診票から自動的に質問内容を作成してくれるAI問診にしたことで、問診精度も向上し、医療の質の向上にも寄与できたと考えている。