一般社団法人 日本医療情報学会

[2-E-1-05] TeamCompassの導入 記録の相互活用の取り組み

*森川 祐美1、宋 友榮1、髙榮 かおり1、西川 由起1、浦 靖子1、立野 香純1、坂田 幸代1、宝来 恵子1、木村 道子1、山本 美弥1、高木 美由紀1,2、久保 慎一郎1,2、山内 美智子1,2、菅野 沙帆1,2、喜多 真美3,2、福山 麻里1,2、橋口 智子1、中尾 彰宏4,5、水流 聡子4、玉本 哲郎6,2 (1. 奈良県立医科大学附属病院 看護部, 2. 奈良県立医科大学附属病院 医療情報部, 3. 奈良県立医科大学附属病院 経営企画課診療情報管理係, 4. 東京大学大学院工学系研究科 品質・医療社会システム工学寄付講座, 5. ドクターズモバイル株式会社, 6. 奈良県立医科大学 放射線腫瘍医学講座)

Clinical path, Patient Condition Adaptive Path System, Nursing plan, Electronic medical record, Progress sheet


【目的】2020年5月電子カルテ更新と同時に記録の相互共有と業務改善を目的にTeamCompassを導入した。TeamCompassとは医師と協働のもと、治療プロセスを可視化・構造化し治療経過における患者状態変化に対応するシステムであり、稼働させるツールはPCAPS(患者状態適応型パスシステム)である。多様なパス毎に看護ナビ(観察・行為の標準セット)を搭載、イベントと称し、医師、看護師双方が必要とする患者の特殊な状況に対応するツールも併用している。導入半年後より、看護師が患者状態をより構造的に観察し、医師が必要とする記録を構築するために改良し記録の相互活用に向けての取り組みを行った。
【方法】稼働後システム運用の中で不具合を抽出し以下の修正を行った。
➀パスの追加・修正に合わせた看護ナビの追加・修正
②患者の個別性を表す看護イベントの充実
③診療科別の医師イベントの追加 一部の医師イベントは看護観察と連動
④経過表に各診療科が必要とする検査値の臨床指標を表示
今回のパスの作成には看護ナビビルダー(マスター管理ツール)を導入しPC上で作成を行い2020年2月28日にリリースを行った。
【結果】リリース時に追加、修正した内容として、パス713件、看護ナビ1415件、医師イベント708件看護イベント204件を作成し、新生児部門以外の全ての入院患者に適応した。以後、パスとイベントを組み合わせ患者に合わせた運用を徹底し、2020年4月のパス適応率は91.3%である。
【考察】治療過程中の必要な症状観察の確実な記録、条件成立時のみの従来の叙述式看護記録、医師との記録共有、データの二次利用が可能になった。複雑な患者状態を明確化した記録ができるように改良中である。今後も医療の変化に対応し医師・看護師が必要とするシステムを構築することにより相互に活用できる記録を目指したいと考える。