Japan Association for Medical Informatics

[2-E-2-03] YOLOv3を用いた子宮頚部細胞診画像クラスタリング手法の提案

*Yuta Nambu1, Tasuku Mariya2,3, Syouta Shinkai2, Hiroko Asanuma3,4, Yoshihiko Hirohashi3, Tsuyoshi Saito2, Toshihiko Torigoe3, Ikuma Sato5, Yuichi Fujino5 (1. 公立はこだて未来大学大学院システム情報科学研究科システム情報科学専攻, 2. 札幌医科大学医学部産婦人科学講座, 3. 札幌医科大学医学部第一病理学講座, 4. 札幌医科大学医学部病理診断学, 5. 公立はこだて未来大学システム情報科学部情報アーキテクチャ学科)

Cervical Cytology, Deep Learning, Object Detection


子宮頸がんを対象としたサイトスクリーニングにおいて,専門医や細胞検査師の負担が大きい,検者によって診断結果にばらつきが生じるという課題がある.これらの課題に対し,情報処理を用いた自動スクリーニングを実現することで専門医らの負担を軽減し,ばらつきのない診断が可能になると考えられる.そこで,本研究では自動スクリーニングの実現を目的として,YOLOv3および独自のフィルタ処理により子宮頚部細胞診画像の自動分類を実現した.まず,分類対象をASC-US, LSIL, ASC-H, HSIL, SCCの5つと定め,子宮頸部液状化検体細胞診を施行した症例から,各クラス50枚の画像データセットを作成した.次に,学習画像枚数の不足を補うため,フィルタ処理により学習画像枚数を36倍に増加させた.そして,フィルタ処理後のデータセットに対し,訓練データセットを75%, 検証データセットを12.5%としてYOLOv3の学習処理を適用した.YOLOv3の検出処理時にいずれのクラスも検出しなかった場合をNILMとすることで,6クラスの分類を実現した.最後に, NILM画像50枚とフィルタ処理後のデータセット12.5%をテストデータセットとして,精度評価を行った.精度評価の結果,正解率の平均値は87.2%であった.また,スクリーニングおいて重要とされる再現率の平均値は78.2%であった.なかでも,HSILは正答率76.1%に対し,再現率23.7%と低精度であった.これは,HSILは悪性度が高くASC-HとSCCの中間に位置することで他クラスと混同したためだと考察される.実際に混同した頻度を調べた結果,HSILは56.7%の確率で他クラスと混同していた.以上のことから,機械学習を適用するだけでは悪性度の高いクラスの分類は難しく,画像以外の特徴量を追加するか貢献度の高い特徴量を事前に定義する必要があることが示唆された.