Japan Association for Medical Informatics

[2-F-2-01] 安全なReal World Data利活用の為の制度的対応と課題

*Ryuichi YAMAMOTO1 (1. 医療情報システム開発センター)

Medical Information Basic Act, Real World Data, Consent, Privacy


2018年にはいわゆる次世代医療基盤法が施行され、また2020年には個人情報保護法(以下、個情法)が改正された。これらは個人情報の利活用を、プライバシーを侵害することなく進めるための制度整備とも考えられるが、すべての課題が解決されたわけではない。例えば個情法が当初より持っている情報を取得するセクターによって異なる法制度で運用されていると言う問題点は次世代医療基盤法が適用される狭い場合を除き未解決である。もっとも内閣官房を中心に、行政機関や独立行政法人の個人情報保護法制は1本化が検討されており、仮に自治体の条例も1本化されれば改善されるが、まだ十分には見通せない。さらにこのような法制度の構造的問題を別にしても、医療・健康分野には同意の問題がある。
 同意は本来、利用目的が理解できてはじめて成立するが、医療・健康分野では知識の不均衡が厳然と存在し、データを利活用するものと本人の間に実効性のある同意が成立することは常には期待できない。一方で包括的同意や未来の同意のように、極めて大きな概念で同意を求め、これに基づいて利活用されることも散見される。多くの場合は公益性の高い利活用であり、問題になることは少ないと思われるが、仮に問題になった場合には同意に基づく利活用がどうかの判定はかなり難しいものとなることが予想される。
 これは、そもそも個情法が同意を金科玉条としているにも係わらず、同意の精緻な定義がないことも一因であろう。同意スキームが患者のプライバシー保護に不十分とすれば、それに変わるスキームを整備する必要があり、これに取り組んでいるのが医療情報基本法と考えられる。まだ概念の整備の時期ではあるが、本発表では現状の制度とその課題を明らかにするとともに、医療情報基本法の概要を紹介し、包括的な対策について論じたい。