Japan Association for Medical Informatics

[3-A-2-06] 遠隔から診療業務を支援するICT環境の整備

*Naoki Nakamura1, Masatoshi Chiba2, Tomoyuki Tayama2, Keisuke Ido1, Masaharu Nakayama1,3 (1. 東北大学病院メディカルITセンター, 2. 東北大学病院医療情報室 医療情報運用管理係 , 3. 東北大学大学院医学系研究科医学情報学分野)

COVID-19, Remote Work, BCP, Security


背景
 国内外を問わず新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が猛威を振るっている。今後も感染のリスクは続くことが見込まれ、遠隔から業務を遂行する仕組みの実現は喫緊の課題である。

目的
 職員が自宅待機になった際にも業務が継続できるように、院外から電子カルテ端末を操作できる遠隔接続や、電子カルテ端末の画面共有を可能にした院内外で利用できるテレビ会議システムなど、環境の整備を目的とした。

方法
 オープンソースのBigBlueButtonとGreenlightを用いて、院内にテレビ会議システムを配備した。院外の端末の場合には、VPN接続を必要とし、通信が院内ネットワークに閉じるように構成した。遠隔接続端末の整備に際しては、本院はVDI・SBC等の仮想環境を保有していないため、電子カルテ端末の予備機を活用し、その端末に遠隔からリモートデスクトップ接続する仕組みとして実現した。接続にはクラウド型VPN接続を必要とし、データ流入やデータ流出の防止のためにクリップボード機能を禁止にした。また、BYODは禁止し、機能制限を施したiPadを利用者に貸し出して接続する運用とした。

結果
 テレビ会議システムおよび遠隔接続端末が正常に動作することを確認した。テレビ会議システムにおいては、症例検討会に加え、現在は、手術室内外での会話等でも利用されている。遠隔接続端末においては、令和2年6月29日時点で県内感染者は91名と低く、整備した端末が積極的に活用される状況には至ってないが、臨時診療所におけるドライブスルーPCR検査でこの端末を活用して円滑に業務が遂行でき、その有用性が確認された。放射線科の診断医が自宅で読影するための整備の要望があり、同様の仕組みを読影端末へも拡張・適用し、業務継続に向けた整備を進めていく予定である。