Japan Association for Medical Informatics

[3-B-2-03] ペーパーレス化を実現した透析情報連携の運用課題とその検証

*Keisuke Ido1, Naoki Nakamura1, Mariko Miyazaki2, Masaharu Nakayama1,3 (1. 東北大学病院メディカルITセンター, 2. 東北大学病院腎・高血圧・内分泌科, 3. 東北大学大学院医学系研究科医学情報学分野)

Health Information Exchange, Dialysis Medicine, Electronic Health Records


【目的】東北地方の透析専門医数は全国平均を下回っている。宮城県においては、透析専門医のおよそ2/3が仙台市内の医療機関に所属しており、県内各医療機関への派遣も行われている。専門医と非専門医間、さらには透析医療従事者全ての間での円滑な情報連携を目的として、宮城県内でみやぎ医療福祉情報ネットワーク(Miyagi Medical and Welfare Information Network:MMWIN)を用いた試みについて報告する。【方法】宮城県内の透析医療機関に対しMMWINの活用法を説明し、透析病院同士のネットワークをもとに実運用を展開した。実運用の適応完了後は稼働後の検証を実施した。また、実運用に至らない施設にはその課題を精査し課題対応を実施した。【結果】2018年9月の第1回定期ミーティングから活動を開始し、2020年6月時点、宮城県内の透析患者数5,947名に対し透析情報を持つ同意患者数2,386名となり、県内のおよそ4割の透析患者においてMMWINを用いた情報共有が実現した。この成果により、専門医は所属施設、派遣施設双方の透析情報を横断的に参照可能となり、加えて必要に応じて非専門医に対し遠隔支援が容易に実施できる環境が整備された。また、2019年11月から3施設においてペーパーレスでの情報連携が開始された。ペーパーレス運用にあたっては、対象患者の同意が前提条件としてあり、さらに当該患者の基礎情報(週1回)、経過表が参照できることを要件として運用を行っているが、要件を満たさない施設ではペーパーレス運用への移行が停滞していることを確認した。【結論】透析専門医と非専門医間、透析施設間の情報連携に際し地域医療情報ネットワークの活用が実運用レベルに至ったことを確認できた。今後の取り組みとして、透析導入に至る主たる原因である糖尿病性腎症に対する早期フォローを検討する予定である。