Japan Association for Medical Informatics

[3-C-2-03] 本邦初のICカードとGS1コードを利用した複数医療機関での予防接種情報共有の取り組み

*ATSUSHI NARABAYASHI1,2, Gakuho Fukushi3 (1. 川崎市立川崎病院, 2. 慶應義塾大学, 3. シミックホールディングス株式会社)

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【背景】小児の予防接種の種類は徐々に増加しており、任意接種も含めると、2歳までに9種類のワクチンを27回接種する。それぞれのワクチンは接種開始時期、接種間隔、接種可能時期、接種回数、接種量が種類毎に決められており、ワクチンそのものの有効期限も存在し、すべてを間違いなく接種することが求められる。各医療機関では間違いを減らす取り組みをおこなっているが、間違いの件数は年々増加傾向である。また、複数の医療機関でワクチン接種することがあるため、医療機関単位のチェックシステムだけではなく、地域全体での対応も求められる。【目的】複数の医療機関でワクチン接種情報を遅滞なく共有し、ワクチンの間違いを事前にチェックする仕組みを構築する。【方法】川崎市川崎区内の29の医療機関にタブレット端末を設置し、ワクチン接種対象者にICカードを配布する。ワクチンを接種する際、医療機関のタブレット端末に、ICカードをタッチ(NFCを利用)し本人認証をおこない、サーバ上に保存された接種履歴を呼び出す。その後、ワクチンのGS1コードをバーコードリーダーでスキャンし、当日接種予定のワクチンの種類・有効期限を読み取る。このタッチとスキャンの操作のみで、接種可能かどうかの判定をおこない、間違いを未然に防ぐことが可能である。そして、問題なく接種した場合はサーバに接種情報を保存することで、次の接種時に利用できるようにする。なお、サーバ上には個人情報は保存せず、セキュリティにも配慮している。【今後の展望】現在、自治体が管理している予防接種台帳は、医療機関から集められた紙の予診票を元にした事後入力の月遅れのデータである。今回の仕組みを自治体の予防接種台帳と連携させることにより、自治体との情報共有が可能になる。自治体側でリアルタイムにデータが蓄積されることで、接種漏れ者への個別勧奨通知への利用や接種率の早期把握も可能となる。