Japan Association for Medical Informatics

[3-C-2-07] Bluetoothによる位置情報とウェアラブルデバイスを利用した医療安全とPatient Experienceの向上

*Yutaka Handa1, Tsukasa Agata1, Kenji Natsume1, Hitoshi Hirata2, Oyama Shintaro2, Tamaki Ogura3, Kazuki Fujitani4, Tomoaki Masuma4 (1. 新城市民病院, 2. 名古屋大学医学部附属病院, 3. 大成建設株式会社, 4. シスコシステムズ合同会社)

Bluetooth, Wearable device, Medical safety


背景

高齢化社会の進展に伴い、患者の高齢化、認知症患者の割合が増加し、転倒・離院に対する見守りの負担が増加の一途を辿っている。

我々はウェアラブルデバイスと無線技術を組み合わせ、位置情報・バイタルデータを取得し、医療安全・Patient Experienceの向上を目指したので報告する。

方法

対象者に腕時計型のウェアラブルデバイスを装着し、病院内にWiFiアクセスポイントやBluetoothゲートウェイを設置し、位置情報の可視化・バイタルデータ(脈拍・歩数・活動量)の取得を行う。データはクラウド上に蓄積され、位置情報はマップ上に可視化、バイタルデータはグラフ表示される形でブラウザにて閲覧可能とした。また、転倒や離院をトリガとして、PCまたはスマートデバイス上で動作するチャット機能アプリケーションにより通知を行うように設定した。

結果

令和1年12月23日から令和2年3月18日の期間に76名の対象者にウェアラブルデバイスを装着した。期間中に無断離院は1例、転倒事例は0件であった。

得られた情報は、徘徊などによる無断離院の防止、トイレなどの閉鎖空間での異常を早期に発見する医療安全的観点と、看護師が患者の在室タイミングを逃さず訪問したり、バイタルデータをリハビリ効果判定に利用してフィードバックを行うことでPatient Experienceの向上を図る観点で利用した。

考察

離院事例では、患者が院内に不在であることをシステムで確認し対応することができ、事故等なく帰院することが可能であったが、今後は無断離院を未然に防ぐシステム構築、レスポンスの改善、データ表示・閲覧方法の工夫が必要と考えられる。

バイタルデータの数値・グラフ化はリハビリ効果の指標として患者とも視覚的に共有しリハビリへのモチベーションの維持・向上として有用であり、Patient Experience向上に寄与することが実証を通じ判明した。