Japan Association for Medical Informatics

[3-D-2-03] 体調管理アプリを活用した月経周期と体調の経時的変化との関連分析

*Satsuki Kumatani1, Daisuke Ochi2, Takafumi Yamauchi1, Satoshi Hiyama1 (1. 式会社NTTドコモ クロステック開発部, 2. 株式会社NTTドコモ マーケティングプラットフォーム推進部)

Health and Productivity Management, Women’s Healthcare, Menstrual Cycle, Longitudinal Data Analysis, Frequency Analysis


【目的】女性の社会進出とともに、月経に伴ういらいらや痛みなどの心身不調による生産性低下などの健康課題に関心が寄せられているが、月経周期に応じて体調が時系列にどう変化するかを統計的に分析した例は殆ど無い。我々は、女性の体調管理アプリのデータを用いて、月経周期と体調の経時的変化との関連を分析した。【方法】我々は、2014年度から2018年度までの5年間に弊社のアプリ「カラダのキモチ」を利用したユーザのデータを調査した。本アプリは妊娠前の女性の毎日の体調管理を目的としており、収集データには、月経開始日や40種類以上の症状、感情、行動に関する項目が含まれる。症状、感情、行動に関するデータ項目は、その日の体調に当てはまる場合にスタンプが押される。我々はスタンプが押された登録率を日ごとに算出し、月経開始日から過去3か月分のデータにおいて周波数分析を行った。【結果】分析対象者は2,257名で年齢は平均34(±5.4)歳だった。月経周期と関係する「おりもの」や「出血」の症状はそれぞれ排卵期や月経3日目にピークとなる28日周期であった。月経に伴う痛みとして「腹痛」や「頭痛」の症状はそれぞれ月経3日前や月経3日後にピークとなる28日周期であった。感情のデータでは、「いらいら」や「不快」が月経開始4日前や月経開始日にピークとなる28日周期であった。「腰痛」と「頭痛」、「いらいら」と「不快」では、それぞれ痛みやネガティブな感情として類似するが、周期のピークが異なることが明らかとなった。【結論】本研究では、周波数分析から、これまで女性が経験・感覚的に捉えていた月経周期と複数の症状・感情との関連性を時系列データに基づき統計的に示すことができた。本成果は、月経に伴う諸症状がいつ起きるかを事前に把握し、体調の客観視や体調の変化を見越した業務の割り振りなどを通して、女性社員の生産性向上につながると期待する。