Japan Association for Medical Informatics

[3-D-2-04] 地域包括ケアシステムを見据えた脳梗塞患者の転院先予測モデルの開発

*Tomokazu Mizusako1,2, Shogo Baba1, Takashi Iwaanakuchi3, Yumiko Uto3 (1. 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科医療システム情報学, 2. 鹿児島大学病院看護部, 3. 鹿児島大学病院医療情報部)

Cerebral infarction, The regional comprehensive care system, Machine learning


【背景】脳梗塞患者は突然発症し、急性期病院にて加療を受けるが、その多くは麻痺や高次脳機能障害を来し転院を余儀なくされる。我々の先行研究では、脳梗塞患者の約半数が回復期リハビリテーション病棟を有する施設へ転院しており、そのまた約半数がDPC入院期間Ⅲでの転院となっていた。心身機能の回復に於いて、早期のリハビリテーションの開始が重要であることは明らかであるが、急性期病院での入院期間が延長することにより、専門的なリハビリテーションを受ける機会の喪失が生じる可能性がある。我々は、脳梗塞患者の入院期間が長期に及ぶ要因を分析した結果、その要因として「退院決定の遅れ」「転院先施設との調整」が影響することが示唆された。また、転院先施設として急性期治療も実施可能な医療提供体制が整備されている施設への偏りがみられ、転院先施設の選択において、医療提供能力も要因の一つとして示唆された。
【目的】本研究では地域包括ケアシステムの構築を踏まえ、患者・家族の思いや医療者の判断等において、どのような後方受け入れ施設の選定が行われているかを明らかにし、機械学習を用いて早期の転院先決定支援を目指した予測モデルを開発する。入院早期から適切な転院先の候補を予測することで、患者・家族の選択の幅を広げることができ、さらに転院先施設との調整が早期より取り組まれることにより、入院期間の短縮が期待される。【方法】特定機能病院A病院に入院した脳梗塞患者のデータを病院情報システムより抽出し、機械学習を用いた転院先予測モデルの作成と評価を行う。【結果・考察】入院早期に転院先を予測する転院先予測モデルの精度は一定の水準を満たすことが出来たが、地域の医療リソースの影響を受けていることも確認できた。この予測モデルを早期転院支援のツールとして活用することは、入院期間が長期に及ぶ転院調整待ちの回避につながることが期待できる。