Japan Association for Medical Informatics

[3-D-4-01] 個人の健康計測データを用いた効率的な介入方法の検討

*Akina Sakou1, HIrohito Watanabe2, Jin Miyoshi2, Takuya Nishimizu2, Tadamasa Takemura1 (1. 兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科, 2. 阪急阪神ホールディングス株式会社)

Health promotion, PHR, Mental Health


長時間労働の常態化や労働人口が減少する中で、会社に対し健康経営が求められている。個人の健康状態を把握するために特定健康診査および特定保健指導が導入されているが、それ以上の取り組みについては不透明な費用対効果もあり多くの企業ではあまり積極的ではない。一方で、スマートフォンの普及や、健康計測データを個人単位で収集することが可能なシステムが構築されつつあり日々の活動量等のデータを取得可能になりつつある。
 そこで本研究では、健康経営における従事者の健康データについて、日々の活動量データおよび健康計測データを分析することで、従事者の健康維持活動が可能かを検討する。具体的には、健康経営において重要な課題であるメンタルヘルスと健康計測データおよび活動量のデータを分析することを試みる。
 対象としては、Aホールディングス株式会社(以下、A社)における20代から60代の男女710名の従事者の健康データとした。今回計測している健康データは、社内の健康イベントにおいて取得したデータであり、肥満度、体組成、自律神経機能検査等の計測データ、またこころの状態を示すPHQ-9および疲労・睡眠VASなどの質問表で取得したデータ224項目である。また、参加者には日々の活動量を取得できるスマートフォンアプリの利用を求めており、これらのデータを用いて活動量と健康状態の関係性の分析を試みた。
 個々の健康計測データにおいては、肥満度や体組成等の計測データとPHQ-9等との心の状態を示す指標との関係性は認められない反面、同じ心の状態を示す質問表の間でも多くの矛盾が認められた。活動量にも一定の変化が認められ心の状態に影響を与えていると推察された。今後は、日々の活動量だけでなく、睡眠状況・精神状況についても継続的にデータを取得することで、健康経営に貢献しうるメンタルヘルス面においての介入方法を検討する。