Japan Association for Medical Informatics

[3-D-4-04] 原死因確定プロセスにおけるIRISの国内導入可能性に関する基礎的な検討

*Hitomi Oigawa1, Tomoya Myojin2,3, Rina Kagawa4, Tomoaki Imamura3, Takeshi Imai5 (1. 奈良県立医科大学MBT学講座, 2. 奈良県立医科大学病理診断学講座, 3. 奈良県立医科大学公衆衛生学講座, 4. 筑波大学医学医療系医療情報マネジメント学, 5. 東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター)

underlying cause of death, Vital Statistics, Iris, ICD-10


【背景】日本では、死亡統計に用いる原死因の確定を行うために、人口動態調査死亡票と独自開発した人口動態死因オートコーディングシステムを用いている。一方、世界ではフリーソフトウェアIrisの利用が広まっている。ICD-11の導入に伴い、人口動態死因オートコーディングシステムを大幅に修正する可能性がある中で、日本はどのような原死因確定プロセスを行うのか検討する必要がある。【目的】Irisが日本の原死因確定に適用可能か調査を行う。Irisは、病名ではなく病名に対応するICD-10コードを読み込ませる必要があるため、ICD-10コードのみで決定される原死因の精度を算出する。【方法】人口動態死因オートコーディングシステムとIrisが準拠する「疾病、傷害および死因統計分類提要ICD-10準拠第2巻インストラクションマニュアル<総論>」(以下、インストラクションマニュアル)中の病名と原死因が併記された原死因コーディング例(156件)を抽出し、標準病名マスター等を用いて病名にICD-10コードを付与した。付与したICD-10コードをIrisに適用して得た原死因と、コーディング例の原死因を比較し、Irisの原死因確定精度を算出した。【結果】Irisの原死因確定精度は約8割であった。残りの原死因に関しては、標準病名マスターとのポリシーの相違、根本的にICD-10コードの付与が困難な例、Irisが未対応であるインストラクションマニュアルのルールに則った原死因の決定が必要な例があった。【考察】正しいICD-10コードが付与できれば、Irisにより約8割以上の原死因確定が可能だと考えられる。今回は、特殊な例を多く含むインストラクションマニュアル中の原死因コーディング例を用いているが、実際の死亡票のデータを用いた場合はより精度が高くなる可能性も考えられるため、今後は実データを用いた実験を行う予定である。