Japan Association for Medical Informatics

[3-E-2-07] 細胞形態学習のためのアプリケーションの開発と評価

*Yoshinori Nishihara1, Fumiaki Mikami1, Masaaki Tanaka1 (1. 川崎医療福祉大学大学院 医療福祉マネジメント学研究科 医療情報学専攻)

Cell Classification, Learning Applications, Clinical Laboratory


【緒言】臨床検査部門業務における末梢血・骨髄の細胞分類の学習法は、従来上級者から直接技術を学ぶ方法が一般的である。一見効率的な学習法ではあるが、上級者の存在が必須である上に、上級者の技術つまり精度を保証する仕組みもない。そこでより効率的で効果的な学習環境を構築することを目的に学習アプリを開発した。

【方法】学習環境は4ラインナップ開発した。画像クイズ形式でCell By Cellの正誤判定に加え、出題細胞種別に回答状況を円グラフ表示する機能と、結果レポート機能を実装した(Windows版、Excel版、スマホ版)。さらにWebアプリとして、回答結果を匿名化した状態でサーバに登録し、集計公開する仕組みを構築した。細胞画像は日本検査血液学会が公開する正解付き画像を利用した。出題細胞の種類は顆粒球系幼若細胞(骨髄芽球/前骨髄球/骨髄球/後骨髄球/桿状核球)の5種類各20枚とした。

【結果】学会公式画像による精度保証された学習の質と、学習状況のグラフ化やレポート機能により自習環境が構築できた。Webサーバの集計状況は、現時点の集計人数26人で、正答一致率100%の画像数は各細胞12/2/2/0/4枚、70%以上では19/8/9/4/13枚であった。【考察】アプリを施設内で共有すれば、細胞分類業務に携わる技師の技術間差を収束することに繋がるほか、正答率を指標にして技術力の評価にも有用である。Windowsアプリ及びスマホアプリをWebアプリと連携させたシステム構成で、多彩なラインナップを展開することで手軽に多くの技師に学習環境を提供できる。またWebアプリで他者の回答状況を確認することで、技師間差の是正の糸口にもなり、さらに外部精度管理を支援するツールとしても期待できる。

【結語】本アプリは利便性よく効果的な個別学習環境を提供し、血液検査技術の向上に寄与する有用なツールといえる。