Japan Association for Medical Informatics

[3-F-3-01] 全国における急性期脳梗塞に対する血栓回収療法研修施設の地理的分布の評価

*SongZi Gu1, Kensuke Fujiwara2,1, Takumi Tanikawa3, Toshiya Osanai4, Katsuhiko Ogasawara1 (1. 北海道大学 大学院保健科学研究院, 2. 小樽商科大学 小樽商科大学大学院商学研究科, 3. 北海道科学大学 保健医療学部 診療放射線学科 , 4. 北海道大学大学院医学研究院 脳神経外科)

Mechanical Thrombectomy , Training Centres, ArcGIS


【背景・目的】

現在、2025年、2040年を見据えた医療提供体制の見直しが進んでいる。医療計画における5疾病のうち脳卒中、特に脳梗塞については脳卒中・循環器病対策基本法施行を機に、急性期脳梗塞治療の均てん化が進められ、血栓回収療法を行う施設の計画的な配置の必要性が指摘されている。本研究では、血栓回収療法の需給バランスを検討するための基礎データの提供を目的として、拠点となる施設への地理的アクセシビリティを分析した。

【方法】

日本脳神経血管内治療学会が公開している研修施設221施設を、複数の専門医が在籍している拠点病院と定義した。日本の主要都市における直線距離と道路距離との比に関する研究(平均道直比1.3035)及び平成27年度全国の一般国道の自動車専用道路における昼間12時間平均旅行速度(77.4km/h)に基づき、治療可能エリアとして半径29.6km、59.4kmの円を地理情報システム(GIS)上で作成した。平成25年の国勢調査に基づいて推計された2025年における65歳以上人口の分布を用いて、その円内に含まれる人口を求め、都道府県ごとに人口カバー率を算出した。分析にはArcGIS Pro10.7.1(ESRI社)を利用した。

【結果・考察】

全国における半径29.6km、59.4km円内の人口カバー率では、それぞれで約84%、95%だった。47都道府県のうち、秋田県、熊本県で研修施設がないため、59.4km円内の人口カバー率は30%以下であった。また、鳥取県の研修施設の地理的に偏りのあるため、59.4km円内の人口カバー率は61%であった。59.4km円内でカバーできない高齢者が多い地域について、研修施設以外で積極的に治療を実施しているを施設を分析する必要があるものの、専門医の育成や需要バランスという点で、より詳細な検討が必要な地域であると考えられる。