一般社団法人 日本医療情報学会

[3-G-2-06] タブレットを用いた情報プライバシー上のニーズの把握法:患者による評価 第1報

*新實 夕香理1、太田 勝正2、曽根 千賀子3 (1. 名古屋女子大学, 2. 東都大学, 3. 長野県看護大学)

Information privacy, Display methods, Patient needs, Tablet type


【目的】患者がカルテ上のどのような情報を一時的に非表示、すなわち不特定の医療者に対して伏せておきたいかを、患者自身が直接選択するためのタブレット型の模擬テンプレートの改良版を作成した。本研究の目的は、患者の情報プライバシー上の要望を直接把握する方法の実用可能性を明らかにすることである。
【方法】入院患者を対象に、約60分のインタビューを実施した。属性調査の後に回答用タブレットの操作をしてもらい、画面デザイン、操作の難易度、回答に適した入院中の時期等を尋ねた。なお、先行研究に基づき、専門用語の平易化と操作の音声ガイド、職種の説明等を加えたが、本タブレットは模擬患者情報を用いており、実際の電子カルテ画面とは異なっている。調査後に逐語録を作成し、質問ごとの語りからコードを作成し、その類似性に着目し結果を整理した。調査期間は2020年2月から3月で、所属機関と協力施設の倫理審査委員会の承認を得て実施した。
【結果・考察】参加者13名のうち、男性は7名、女性は6名であり、平均年齢は51.9±16.6歳、10名が3回以上入院していた。タッチパネル操作が困難な患者はおらず、10分程度で回答し終えた。知られたくない情報が「ある」を選択した患者が2名にとどまったため、他の11名にも「ある」場合の操作を依頼して回答を得た。12に分類した個人情報の共有範囲について、誰と共有し、誰には非共有にするかを一々問う必要がないとの意見もあった。回答する時期は、予定入院の患者は外来で入院説明を受ける際に、緊急入院の患者は状態が落ち着いてからがよいと言う回答が多かった。今回の対象者は個人情報の共有について問題なく非共有とする必要がないという回答が多かったが、今回のタブレット端末は患者として情報プライバシーの要望を直接医療者に伝えるのに有用であると回答していた。本研究はJSPS科研費17K12098の助成を受けた。