Japan Association for Medical Informatics

[4-B-2-02] 看護オーダの集約化による記録入力時間の短縮 ~重点思考に基づく問題の絞り込みと改善プロセス~

*Hiroyuki Ikedo1, Toshihiko Kawamura2 (1. 島根大学医学部附属病院看護部, 2. 島根大学医学部附属病院医療情報部)

Nursing records, Pareto analysis, Nursing engineering approach


「働き方改革」の基本的な考えが示され、2019年度4月より時間外労働上限規制の導入や年次有給休暇の確実な取得などが義務付けられた。看護師の超過勤務の理由の一つは「看護記録業務」であることが知られている。そこで、5日間にわたって全病棟の日勤業務終了後の業務時間の調査し、パレート分析を行った。パレート図によってデータを可視化させることは、どこに問題が集中しているのかをとらえる「問題の絞り込みのプロセス」と、改善されたときの効果も大きい「重点指向」を用いることで、効率よく業務時間(記録入力時間)の短縮を行っていくことが可能になる。パレート図により、やはり当院においても「看護記録入力」が全体の25%を占めてトップであり、ついで入院対応や看護連絡表、分包作業などであった。当院が使用している電子カルテでは、ワークシートと呼ばれる表にその日に観察・ケアすべきことを時系列で表記させ、看護活動を行っている。このワークシート上の「看護オーダ数」を減らすことによって、ワークシートが整理され、処置等の見落とし防止につながり、さらに電子カルテ上のクリック回数が減少することにつながると考えた。そこで、看護オーダとして(i)バイタルサインを作成、(ii)ドレーンに関する観察項目をドレーン毎に集約化した。この新たに作成した看護オーダによってワークシート上の「看護オーダ数」に改善効果があったのどうか統計的検証を行い、改善が認められた。

看護の現場に多くの課題があるが、何が問題なのかが明確になっていなかったり,わかっていなかったりする場合がほとんどである。看護師の知惠と経験のようなマインドによる仮説を検証するためにはデータが必要となり、それを検証するためには「問題の絞り込みのプロセス」と「重点指向」の2つの考えを用い、看護工学的アプローチを行うことは、一種の改善プロセスとしても有効であった。