Japan Association for Medical Informatics

[4-C-1-03] 自治体の特徴に合わせた特定健診受診率向上支援のための自治体グルーピングの試み

*Yasuhiro Morii1, Yoshikazu Ichimura2, Tatsuya Honma2, Koji Asakura3, Wataru Shibayama3, Nozomi Shiina1, Jun Nakaya1, Katsuhiko Ogasawara1 (1. 北海道大学大学院 保健科学研究院, 2. 凸版印刷株式会社 東日本事業本部 北海道事業部, 3. 凸版印刷株式会社 事業開発本部 ヘルスケア事業開発センター)

Specific Health Checkup, Ecological Study, Cluster Analysis


【背景・目的】特定健康診査(以下、特定健診)は国民の健康増進に重要な役割を果たすものであるが、特に国民健康保険(以下、国保)加入者では受診率が低い。未受診の理由は様々あるが、自治体により受診率低迷の理由やとるべき受診率向上施策は異なると考えられる。そこで本研究は自治体の特定健診受診率向上のための施策立案支援を目的として、受診率に関する変数を用いた自治体のグルーピングを行った。【方法】対象は北海道の全自治体から外れ値のパラメータを含む4つを除外した175自治体とした。最初に医療資源、経済因子、保健資源、産業構造、社会因子に関連する変数を説明変数、2015年の国保加入者の特定健診受診率を目的変数とした重回帰分析を行った。重回帰分析で有意であった変数を用いて、対象自治体に対して非階層クラスタリングによるクラスター分析を行った。クラスター数はCubic Clustering Criterion値や解釈可能性の観点で決定した。分析にはJMP Pro 14.0を用いた。【結果・考察】特定健診受診率に有意に関連した変数は人口あたり医療機関数、所得、保健師数、第2次産業、農業、漁業従事者の割合、独居高齢者の割合であり、離婚率は有意な傾向があった(p=0.07)。これらの変数を用いてクラスター分析を行い、対象を9つのクラスターに分類した結果、健診受診率が高いクラスターは保健活動が活発な農業自治体、ほとんどの関連パラメータの値が良好である小規模自治体、小・中規模な農業自治体、健診受診率が低いクラスターとしては都市型自治体、漁業・工業が盛んで医療・保健資源が少ない自治体、小規模な漁業自治体、所得の低い工業自治体、比較的所得の低い農業自治体に分けられた。今後は本結果を踏まえた上で自治体の特徴に合わせた受診率向上施策の提案や立案を行っていくことが望まれる。