Japan Association for Medical Informatics

[4-C-1-04] 特定健診受診者と受診先医療機関との距離を使用した受診行動の分析

*Midori Saigo1, Yasuhiro Morii2, Teppei Suzuki2,3, Ryo Kitano4, Katsuhiko Ogasawara2 (1. 北海道大学大学院 保健科学院, 2. 北海道大学大学院 保健科学研究院, 3. 北海道教育大学岩見沢校 芸術・スポーツビジネス専攻, 4. 室蘭市生活環境部)

GIS, Specific Health Checkups, Consultation behavior


【背景】医療費適正化を実現するためには予防可能な疾病への対策が重要であり、生活習慣病の早期発見・治療を目的とした特定健康診査(以下、健診)においては、対象者の受診行動を明らかにし、健診受診率を向上させることが求められている。受診行動の要因の一つに、医療機関との距離の関連があるが、受診行動は地域の特性も影響する。本研究では、室蘭市における健診受診者と受診先医療機関の緯度経度上での距離を基に、受診者の受診行動を明らかにすることを目的とした。【方法】北海道室蘭市の国保健診データより平成27年度健診受診者かつ、住所および受診先医療機関が特定できた5,457人を対象とした。受診者と受診先医療機関の緯度経度直線ベクトルをGIS(地図情報システム)により算出し、各医療機関(計25機関)のベクトル平均と標準偏差を算出した。その後、各機関での健診受診者数、実施可能な検査項目数、受診可能日数について相関係数を求めた。検査項目は、主要ながん検査(大腸・肺・胃)、肝炎、性別毎に特徴的な疾患検査項目(前立腺がん・子宮がん・乳がん・骨粗鬆症)について集計・分析した。【結果・考察】ベクトル上位5機関は直線距離で約2.5~4.4km、下位5機関は約0.9~1.4kmであった。ベクトルと健診受診者数の相関係数はr=0.57(p<0.01)であり、受診者が多い機関には遠方からでも受診者は通院する傾向が示された。ベクトルと検査項目総数、主要ながん検査項目数はr=0.48(p<0.05)、r=0.61(p<0.01)であった。女性受診者のベクトルと女性に多い疾患検査項目数ではr=0.74(p<0.01) であった。受診者が遠方の健診機関を選択する受診行動をとる一因として、検査項目の内容が関連しており、女性においては主要ながん検査よりも、女性特有な疾患の検査が受けられる機関に受診する傾向が示された。