Japan Association for Medical Informatics

[4-C-2-02] ビックデータを活かした歯科医療のこれから:基礎研究から産学連携まで

*Kazunori Nozaki1 (1. 大阪大学歯学部附属病院医療情報室)

Dental Informatics, Bigdata, IoT, Machine Learning, Simulation


日常の歯科診療で発生するデジタルデータは,電子カルテもしくはレセプトデータを主として,口腔内写真や放射線画像情報等があり,医療情報として扱われている.歯科医療におけるビックデータは,診断や治療を目的に医療従事者が生成する情報というよりはむしろ,診療や治療に付随して発生する情報のことを指すと考えられる.ビックデータを用いることで実現可能となる歯科診療歯科診療が存在する可能性がある.例えば,医療情報担当部所への電話による問い合わせ情報や,歯科用チェアユニットのメンテナンス情報,室内の環境モニタリング情報等を機械学習させることで,歯科診療に際して有益な情報を提供することが考えられる.ビックデータの収集と蓄積,そして解析処理を実現するには,情報処理環境整備が必要となり,ひいては様々な診断用人工知能の構築を各診療科が行う際の情報基盤としても活用することが可能となる.

このような情報基盤上で,歯周病等の受診勧奨用人工知能や歯列状態の判定アプリケーション等を稼働させ,地域の歯科医師会を通して口腔のウェルフェア・ウェルネスをサービスとして提供する取り組みとして,ソーシャル・スマートデンタルホスピタル(S2DH)構想がある.そこでは地域連携も視野に入れ,データー駆動形社会における歯科医療のあり方,特に大学歯学部病院のあり方を考案している.

本シンポジウムでは,大阪大学歯学部附属病院医療情報室が現在推進している歯科診療ビックデータ研究を中心に,歯科診療室環境や地域医療を視野に入れた産学連携研究とその基盤となる歯科情報学研究に関してご報告する.