[4-G-1-05] レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)における患者突合の精度向上に関する手法開発
NDB, Rezept, matching, ID, number of patient
【目的】レセプト情報・特定健診等情報データベース(以下,NDB)とは、日本の保険診療の悉皆データである。本研究者らによってNDBの同一患者の複数レセプトを紐付ける変数「ID1」と「ID2」を用いた名寄せ手法により、「ID0」を開発し、様々な研究者が利用している。しかし、「ID1」の表記ゆれを解消した「ID1N」等が追加されたことや、一部年齢階層が人口を上回るID数であったことから、名寄せを効率化させた個人ID(ID0v2)を開発した。
【方法】本研究は医療計画策定に係る評価指標作成の一環として行った。6年分のNDBレセプト(医科、調剤、歯科)を用いた。従来の「ID0」で使用していた「ID1」,「ID2」,「診療年月」,「転帰区分」に加え「ID1N」を利用した名寄せアルゴリズムを開発した。また、「歯科」レセを加えたマージ方法を検討した。さらにIDの重複をみる期間を変えたときの患者数の変化を検証した。アルゴリズムの妥当性を検証するため,従来のID0による名寄せとID0v2による名寄せを,平成27年10月1日時点の推計人口と比較した。
【結果】総人口が127,094,745人、従来の集計方法(ID0)では112,872,483人であったのに対し、ID0v2では110,704,147人であった。年齢階級ごとに名寄せ率(総人口に占めるID数)を比較すると、例えば男性の80~84歳は1.02で変化が見られなかったものもあれば、男性の5~9歳は1.03から1.01に減っている階級も見られた。
【考察】ID1Nでの名寄せ率の向上や、レセプト重複期間の見直し、つなぐ際に最も近い診療年月から結合するなどの名寄せ方法を取ることによって、以前に比べて名寄せ率は向上した。年齢階層によって名寄せ率にばらつきがみられたのは、ライフイベントによって保険種別が代わりやすい世代の名寄せが行えたためと考えられる。