Japan Association for Medical Informatics

[5-B-1-07] ボーダレス時代のIPSへのロードマップ考

*Eizen Kimura1 (1. 愛媛大学医学部医療情報学講座)

International Patient Summary, FHIR, SNOMED


International Patient Summary(IPS)は国境を越えてケアを受けるために必要な最低限の患者サマリーとして、ISO/DIS 27269において仕様が定められている。ただ、新しい要素技術が開発されたのではなく既存の要素技術を整理、ハーモナイズする位置付けである。すなわち、 epSOSにおける欧州在住の患者が国境を越えてeヘルスサービスを享受できる枠組み、JASEHNの患者サマリーに関するガイドライン(eHN PS)、eHDSIにおける国境を越えた患者サマリーと電子処方箋の交換をするための情報基盤といった経緯の延長上にIPSが具備すべき情報モデルの概念が定義されている。そして、欧州と米国におけるIPSの相互運用性の確保にむけて各種標準化団体が参与するTrillium Bridge IIが遂行されており、HL7からHL7 CDAおよびFHIRむけの実装ガイドラインがパブリックドメインライセンスで発表されている。またSNOMED InternationalからIPSのデータに関してSNOMEDに加盟していない国でもSNOMEDの概念が利用できるようにGlobal Patient Set(GPS)というSNOMED CTのサブセットをCCライセンスで公開している。国際的なファンドを背景とした一連の取り組みがあり、IPSに関連した標準情報モデル、用語集を全ての国で制約なく使えるオープンソース・ライセンスで公開されている状況をみる限り、その課題は着実に克服しつつあるように思われる。以上の状況を踏まえ、我が国において、FHIRのIPS実装ガイドラインへの準拠を視野にいれた国内プロファイルの策定を進め、SNOMED GPSと国内のマスター群とのマッピングを作成すること、IPSを中核仕様としてPHRの要件定義とも横連携していくような進め方を提案したい。