Japan Association for Medical Informatics

[5-B-2-01] 看護師プレゼンティズム予防のためのIoTセンサデバイスを活用した行動解析とリスク分析

*Shintaro Oyama1, Keiko Yamashita1, Sozo Inoue2, Paula Lago2, Shingo Takeda2, Yoshinori Ideno3, Satoshi Yamashita1, Chiaki Funada1, Kikue Sato1, Yoshimune Shiratori1 (1. 名古屋大学医学部附属病院, 2. 九州工業大学, 3. 株式会社ケアコム)

Nurse Presenteeism, IoT sensor device networks, Musculoskeletal pain illness


【背景】全国的に少子高齢化と医療従事者の雇用困難が進む現状、特に地方の病院では看護師と患者が高齢化する中で相対的に増加する看護需要に応えようと無理をしてプレゼンティズム(肉体的、精神的に状態が悪いまま出勤する状態)に陥る看護師が多い。
看護師は多職種よりプレゼンティズム率が高いことが知られており、その中で腰痛や頚肩腕痛を始めとする筋骨格系疼痛は大きな要因の一つとして挙げられるが、体操など組織として対処を促すことはあっても、リスクの状況やリスクに応じた対処を行うことは困難であった。今回我々は業務用スマートデバイスや30g以下の装着型IoTデバイスを利用して主な看護行動の分離を行い、さらに看護行動解析から筋骨格疾患のリスク分析を行えるかを検証したので報告する。
【方法】個室病室を模した実験室環境にモーションキャプチャー及びBluetoothデバイス高精度位置測位アンテナを設置。6軸加速度センサを搭載したスマートデバイス及び高度センサを装着した8名の看護師により9クラスの看護行動を3回ずつ実施。それぞれのデバイスのデータより看護行動のクラス分類精度について検証し、各行動クラスの筋骨格系疼痛リスクについて評価分析した
【結果】同一被検者で学習評価した場合7クラスで9割を超える精度が得られたが、他の被験者で学習した場合精度は7割に低下した。要素解析で看護行動の推測に上下動の動作が重要であることが判明し、腰痛リスクが最も判別が容易であった。
【考察】他被験者のデータで学習した分類器は精度が低いが、腰痛や頚肩腕痛のリスク分析という観点からはクラスごとの厳密な分離は必要ではなく、十分リスク予測に利用できる精度と考えられた。実験室内の検証結果ではあるが、現実の病室に近似したセッティングであったため実際の病室でも近い結果が得られると期待される。