Japan Association for Medical Informatics

[5-B-2-05] 認知症患者の識別と認知症が診療アウトカムに与える要因分析

*Takashi Iwaanakuchi1, Yukari Fukuda2, Takuma Yoshida3, Yumiko Uto1 (1. 鹿児島大学病院 医療情報部, 2. 鹿児島大学病院 看護部, 3. 鹿児島大学大学院理工学研究科数理情報科学)

Dementia, Cognition Disorders, DPC (Diagnosis Procedure Combination), Nursing Care


【背景】認知症の患者は医療現場において看護の手間がかかり、医療資源をより多く要すると考えられている。認知症患者を入院時に識別し、診療アウトカムや医療資源投入量に与える影響を推測できれば、最適な人員配置や退院支援に繋げることが可能となる。一方、患者の特定の病態を抽出するには診断名が利用されるが、認知症の診断は、保険診療の要件となることが少なく抽出力は低い。本研究は、認知症患者を識別するための要因と診療アウトカムの1つである在院日数に与える影響を明らかにするものである。

【方法】対象はA大学病院に2016年4月1日~2020年3月31日に1入院歴を有する患者56,010名とした。認知機能の低下を検出するために要因として、A:認知症の診断名、B:アルツハイマー型認知症治療薬の投与歴(院内処方および持参薬)、C:看護師による入院時の退院支援スクリーニングの項目のうち「認知症状」が「有」のデータを抽出した。これら3つの要因が在院日数に与える影響を確認した。

【結果】Aは782名、Bは644名、Cは1,485名だった。いずれかの要因を有する者(A∪B∪C)は1,904名、全ての要因を有する者(A∩B∩C)は264名であった。対象をDPCで分類し、同一DPCで要因の有無による平均在院日数を比較したところ、要因有群の方が長かった。特に手術無群でその差がより大きかった。

【考察】認知機能の低下を有する患者の識別において、看護師による入院時のスクリーニングを用いることで、診断名や薬剤の投与歴だけを条件とするより、より多くの患者の検出が可能となった。また、スクリーニング結果は在院日数というアウトカムにも影響を及ぼしており、今後、ケア量予測モデル等を開発する際の1つの指標としての利用が期待できる。