[2-B-2-01] COVID-19パンデミックに対する院内情報システム- 患者受け入れ態勢の目まぐるしい変化への対応 -
COVID-19 epidemic, electronic medical record, medical support system
はじめに:COVID-19の流行第4波で関西地区では入院を待つ患者が待機施設で重症化するという医療崩壊が現実のものとなった。当院では当初中等症の患者、その後重症患者に特化し、段階的に病床数を増やしていった。これらの役割を担う上での問題点や工夫について検討を行った。方法: COVID-19対応病床の増減とそのための対策について時間の経過にそって分析を行った。結果:病床変更の度に人工呼吸装置や生体モニターの調達、病床レイアウトの変更、人員確保の為の一般病床閉鎖、予定手術の延期などを行ない、それに伴う病院情報システムの改修が発生した。病院情報システムは病床レイアウトに頻繁に変更をおこなえる仕組みとはなっておらず、都度ベンダーに依頼して病床マップや物流、請求の仕組みに手を入れた。院内のCOVID-19罹患患者の動態を把握する必要があるため、診療支援システムにCOVID−19関連の情報を収集する仕組みを新設した。院内PCRと抗体検査の結果、およびプロファイル情報の感染登録、検査同意書、病名、入院患者の体温の記録、さらにカルテの記載内容を統合し、これらのデータを同時に一覧できる仕組みを構築した。さらに、隔離ゾーンとグリーンゾーンとのテレビ会話システム、カンファレンス用の遠隔会議システムなど、IoT機器を使用した意思伝達ツールの導入も行なった。考察:パンデミックが発生し、受け入れ患者数が次々と変化していく状況には医療機関のこれまでの仕組みは対応を考慮されておらず、試行錯誤を繰り返すこととなり、対応には多大な労力を要した。情報システム構築により、COVID-19関連の患者情報が把握できるようになり、感染対策の立案や医療資源の適切配置に役立った。病床変更は人的資源により限界が有り、さらに感染収束期に変更を戻せない場合は大きな赤字の原因となる可能性を含んでいることも明らかとなった。