Japan Association for Medical Informatics

[2-D-1-03] 国際生活機能分類(ICF)の活動と参加の区別に向けた一考察

*Takehiko Mita1 (1. 川崎医療福祉大学 医療情報学科)

ICF, Activity, Participation

【背景】国際生活機能分類(ICF)の構成要素のうち、活動と参加は単一のリストとして示されている。活動は「課題や行為の個人による遂行」、参加は「生活・人生場面への関わり」と定義されている。ICFの付録3おいて、活動と参加を分類・コード化する際に、両者を完全に区別~完全に重複までの範囲で4つの選択肢が提示されている。ICFは人間の健康を生物学的・社会的な視点から総合的に捉えるための概念枠組みと分類項目を提供している。しかし、分類概念の曖昧さや解釈の自由度などの再現性及び内容妥当性の問題から実用に至っているとは言い難い。特に、活動と参加のリストが単一であることがこの問題の主要な原因のひとつであると思われる。【目的】本研究ではICFの活動と参加の分類項目をICFで示されている定義に照らして再考し、活動と参加の区別に向けた示唆を得ることを目的とした。【方法】対象は活動と参加のリストのうち、第2レベルまでの81項目とした(「その他特定」と「詳細不明」が含まれる項目は除く)。各項目を活動と参加の定義に沿って、a: 活動のみ、p: 参加のみ、a or p: 両方に該当、のいずれかに分類し、分類頻度と割合を算出した。【結果】活動と分類されたのは35項目で、ここには学習、運動・移動、セルフケアに関する項目が含まれた。参加には9項目分類され、教育や職業に関する項目が含まれた。両方に該当が37項目と最も多かった。【考察】ICFでは上記の定義で示されるとおり、活動は個人、参加は社会という視点で捉えることが可能である。本研究でもこれらの視点に立って分類を試みた。活動として分類された項目には個人の能力に起因されるものが多い。一方で参加は他者及び制度などのを社会的要因が含まれる項目であった。言い換えれば環境因子の存在が項目名及び内容から判断できる場合はa or pに分類されるため、更なる概念整理が必要となると思われる。