Japan Association for Medical Informatics

[2-E-1-08] 診療予約メール通知システムの構築とその運用

*Naoki Nakamura1 (1. 東北大学病院)

EHR, Reservation Notification, Email

多くの医療機関では、MRIやCT検査の受け忘れによって、限られた検査枠が無駄となり、病院収入にも影響を与える問題が生じている。東北大学病院でも同様の問題を抱えており、患者にリマインドする仕組みの導入を検討することにした。本院では、富士通社電子カルテを利用しているが、患者にリマインドする仕組みは、地域性、患者の年齢層による効果が不明であるため、費用を掛けずに自前で実装することにした。
 実装にあたって、セキュリティを考慮した簡単な仕組みとし、外部にウェブサーバを立てることなく、メールの送受信の仕組みのみで構成した。システムの概要は下記の通りである。
1.メール通知システムでは、電子カルテと連携し、メールを登録したい患者用に、患者IDと紐づいたランダムなメールアドレスを発行し、登録のためのQRコードが記載された登録票を発行する。
2.患者に登録票を印刷・配布し、患者が登録票に印字されているQRコードをスキャンするとメールソフトが自動で立ち上がり、空メールを送信する。
3.メール通知システムでは、メールサーバに送信されたメールを数秒毎にメールをPOP3sで受信する。宛先メールアドレスから患者IDを特定し、特定した患者IDと送信元メールアドレスを紐づけてシステムに登録するとともに、登録完了メールを患者に送信する。
4.メール通知システムでは、毎日定時に翌日および一週間後の診察の予約枠情報および検査オーダ情報を電子カルテから取得し、診察および検査予定内容を外来患者にメール通知する。通知内容は、各予約枠毎に、日時、診療科名、予約枠名、予約票コメントの記載の有無を設定可能とした。
 現在15診療科に本システムを展開しており、全科への拡大を進めている。大きなトラブルなく登録患者が増えており、検査の受け忘れの削減、患者サービスの向上が期待されている。本稿では、システム設計および実際の運用について報告する。