一般社団法人 日本医療情報学会

[2-E-2-03] 業務負担軽減を目指した電子カルテシステムにおけるRPA導入と評価

*坂井 清太郎1、大賀 美喜2、石岡 裕美1、原田 祐二1、椿山 惣一郎1、染谷 朋宏3、中島 直樹1 (1. 九州大学病院 メディカル・インフォメーションセンター, 2. 九州大学病院 患者サービス課, 3. 九州大学病院 医療管理課)

Robotic Process Automation, Electronic Medical Record System, Hospital Information System

背景
近年、医療現場での働き方改革が進められる中でRobotic Process Automation(以下、RPA)と呼ばれる業務を代行・自動化するソフトウェア型ロボット(以下、ロボット)が導入され始めた。本院も医師及び医療従事者への業務負担軽減を図る為の具体策として病院情報システム(以下、HIS)へのRPAテクノロジーズ社BizRobo!Basicの導入と評価を行ったので報告する。
方法
RPA対象業務は厚生労働省及び自治体へのCOVID-19のPCR検査結果報告を患者横断的ビューア機能に登録業務(以下、PCR)、医師や看護師に栄養管理計画書作成を促す患者掲示板への書込み業務(以下、栄養管理)とした。PCRは①検査種別、問診情報等を登録ロボット②検査結果等を登録ロボット、栄養管理は①対象患者抽出ロボット②患者掲示板へ書込みロボットで構成した。担当部署から業務内容をヒアリングし開発・稼働した。
結果
PCRは約49時間/月の業務時間削減となり、基本情報登録が約23時間/月、検査結果登録が約26時間/月であった。栄養管理は約11時間/月の業務時間削減となった。2つの業務とも人よりロボットが登録時間短縮となり情報共有の迅速化に繋がった。一方、安定稼働にはロボット動作と画面遷移の不一致やデータ量増加といった想定外の条件で生じるエラーの調査・機能修正等を行う必要があった。
考察
ロボットは指定した条件通り正確に一定の速度で処理する為、業務時間削減に繋がり有用であった。一方、想定外の画面遷移による動作でエラーが発生する可能性がある為、一定期間の試運用が不可欠であった。また安定稼働する為にロボット及びHISの動作仕様を熟知しておく必要があった。
結論
RPAは働き方改革の観点から労働時間短縮に向けた体制整備に貢献できることが示唆された。加えて情報共有の迅速化、医療安全の確保や増収等にも繋がると考えられた。