一般社団法人 日本医療情報学会

[2-F-1-06] 院内感染症診断支援ツール開発に向けたAIモデルの構築

*齋藤 翔1、 早川 佳代子1,2、石井 雅通3、山元 佳1、野本 英俊1、田島 太一2、松永 展明2、相馬 健人4、小戸 司4、美代 賢吾3、大曲 貴夫1,2 (1. 国立国際医療研究センター 国際感染症センター, 2. 国立国際医療研究センター AMR臨床リファレンスセンター, 3. 国立国際医療研究センター 医療情報基盤センター, 4. NECソリューションイノベータ株式会社 医療ソリューション事業部 )

Nosocomial infection, Diagnosis, Artificial intelligence

【背景】 院内感染症対策は医療施設の重要なテーマであり、不適切な対応は予後悪化に繋がる。本研究は院内感染症の約半数を占めるカテーテル関連血流感染症(CRBSI)と尿路感染症(UTI)に対する診断支援ツール開発のためのAIモデル構築を目的とした。 【方法】 2010年9月から2018年12月における当センターのData Warehouse、医事データ、感染症データを収集した。CRBSIの解析用コホートを「中心静脈カテーテル挿入後2日以上が経過している入院3日目以降」かつ「血液培養採取から5日以内に37.5℃以上の発熱がある」患者とし、患者群を「血液培養陽性かつ確定診断のついた患者」とした。またUTIの解析用コホートは「入院3日目以降」かつ「尿培養採取から1日以内に37.5℃以上の発熱がある」患者とし、患者群を設定した。電子カルテ上の患者基本情報、検査値、看護記録などを説明変数として用いた。学習用データと評価用データの割合は8:2とし、NECのAIエンジンである異種混合学習技術を用いて解析した。 【結果】 CRBSI の解析には150例の患者群、185例の対照群から患者群と同件数となるように無作為に抽出した150例を用い、正解率80.0%、適合率76.4%、再現率86.6%、F値81.2であった。感染の特徴量として体温、消化器官用薬、入院期間、白血球数が挙げられた。またUTIは78例の患者群、397例の対照群から78例を解析に用い正解率81.2%、適合率85.7%、再現率75.0%、F値80.0であった。感染の特徴量として年代、SpO2値、呼吸数、心拍数、体温が挙げられた。 【考察】 患者群と対照群が同数であり実際の症例頻度と異なるLimitationはあるが、本研究のモデルをもとに院内感染症の診断支援ツール開発を進める。 【結語】 院内感染症を診断するためのAIモデルを構築した。