Japan Association for Medical Informatics

[2-G-1-03] 北海道の市町村を対象としたベイズ補正標準化死亡比の経時変化

*Ayato Goto1, Katsuhiko Ogasawara2 (1. 北海道大学大学院保健科学院, 2. 北海道大学大学院保健科学研究院)

EBSMR, Disease Mapping, Standardized mortality

北海道の人口は札幌市では約200万人いるのに対して、1000人前後の都市が多数存在する。このことから、単純に死亡率を比較しても死亡者1人当たりの影響が異なるために比較ができない。そこで、心疾患、脳血管疾患、肺炎を対象に、1人当たりの偶発的な死亡を考慮した死亡比の算出が可能であるベイズ補正標準化死亡比(EBSMR)の経時変化を分析した。本研究では医療資源の適切な配分の実現の足掛かりとなるべく、北海道庁が公開している最新のデータから直近3年分のデータを用いて北海道内の市区町村ごとの3疾病のベイズ補正標準化死亡比(EBSMR)を算出し、3年間の対象疾病の死亡状況の傾向を分析することを試みた。データは北海道庁が公開している北海道保健年報で公開されている平成27年度から平成29年度までの各年度における「死亡数,選択死因分類・保健所・市町村別」、「死亡数および死亡率,死因年次推移分類・性・年齢・年次別」,「振興局市区町村別年齢5歳階級別人口」を使用した。EBSMRの算出にはEB estimator for Poison-Gamma modelを使用し、算出結果の分析には医療統計ソフト JMPを用いた。得られたEBSMRの結果を地理情報分析支援システム MANDARA10(ver.10.0.1.3)により視覚化を行った。算出したデータから各疾患の3年間のEBSMRの中央値は、心疾患では107.49、脳血管疾患では106.03、肺炎では99.79であった。本研究の結果から道内では心疾患、脳血管疾患では3年連続でEBSMRが100を超える値を示していた。また作成した疾病地図から心疾患では札幌市や石狩市を含む札幌圏ではEBSMRが低値を示しているのに対し、宗谷圏北部(稚内町、猿払村、幌延町)では高値を示しており、地域性が示唆された。