Japan Association for Medical Informatics

[2-G-1-04] 北海道における急性期脳梗塞治療の地理的アクセシビリティ分析 ー 2-step floating catchment area法の有効性の検討

*Kyohei Bando1, Kensuke Fujiwara2,5, Takumi Tanikawa3, Toshiya Osanai4, Katsuhiko Ogasawara5 (1. 北海道大学大学院保健科学院, 2. 小樽商科大学ビジネススクール(専門職大学院), 3. 北海道科学大学保健医療学部診療放射線学科, 4. 北海道大学大学院医学研究院脳神経外科, 5. 北海道大学大学院保健科学研究院)

Acute ischemic stroke, Geographical accessibility, 2-step floating catchment area method, GIS

【背景・目的】現在、日本脳卒中学会では脳卒中診療体制の充実に向けて、一次脳卒中センター(Primary stroke center:PSC)の認定を行っている。急性期脳梗塞の標準治療である血栓回収療法の提供については地域格差や支援体制の整備などが課題になっており、特に北海道はそれらの課題への取り組みが急務である。先行研究では血栓回収療法への地理的アクセシビリティに対して供給側からの分析が行われているが、需要側からの分析はされていなかった。本研究では需要側、供給側の両方を考慮できる2-step floating catchment area(2sFCA)法を用い、北海道における地理的アクセス性を分析した。また人口当たりの専門医数が最も多い京都府との比較を通じて2sFCA法の有用性を検討した。【方法】2sFCA法を用い、北海道と京都における急性期脳梗塞診療の供給量をPSCに所属する日本脳神経血管内治療学会認定専門医数、需要量を65歳以上人口とし、供給点として各PSC、需要点として各メッシュからの到達時間の閾値が60分である到達圏を作成した。各メッシュから地理的に到達可能な60分圏内を考慮した上で、そこにいる65歳以上人口10万人あたりが到達可能な専門医数をアクセシビリティ指標(Accessibility index: Ai)として算出した。【結果・考察】Ai=0、つまり60分で専門医に到達不可能なメッシュの割合は、北海道で38.0%(15,854/41,717)、京都府で14.5%(923/6,376)であり、特に北海道の宗谷、根室圏では全てのメッシュでAi=0であった。一方、最も高いAiを示したのは北海道で札幌圏、京都府では山城北圏であり、それぞれ13.0、9.3であった。人口10万人あたり専門医数は札幌圏で1.7、山城北圏で2.3であり、2つの指標がそれぞれ異なる結果を示した。