Japan Association for Medical Informatics

[2-G-1-05] 受療人口重心とオープンデータを活用した構想区域における高度医療機器の配置の最適化の検討

*Atsushi Nakamura1,2 (1. 医療データ分析ラボ, 2. 株式会社サンネット)

Open data, Advanced medical device, Center of population receiving medical treatment, GIS

【目的】改正医療法に基づき都道府県毎に外来医療計画が策定され、高度医療機器等の医療資源を重点的に活用する外来を担う医療機関の明確化が進められている。これまで高度医療機器の構想区域内での配置の最適化を目指して受療人口重心とオープンデータを活用して検討を行ってきたが、今回、それに関わる医療従事者にも注目して分析を行った。
【方法】毎年、病床機能報告により報告される新入院患者数、高度医療機器の設置数や医療従事者数、並びに医療機能情報提供制度で報告される外来患者数や高度医療機器の検査件数などの各医療機関のデータを利用して、構想区域内での高度医療機器の分布状況等を重心分析により把握した。これに加え、医療機関での受療の可能性がある住民分布のバランス点である受療人口重心との距離と方位の比較分析をレーダーチャートを活用して図化すると共に、検査件数等を増減させるシミュレーションを行い、その変化を観察した。
【結果と考察】高度医療機器の分布重心、機器1台当たりの検査件数重心、医師数や診療放射線技師当たりの検査件数重心などの重心指標と受療人口重心とは、どの構想区域でも一致せずその度合も異なっていた。このことは現存のCT、MRI等の設置状況・検査状況では地域住民の分布に即していないと考えられる。このことから現存のCT、MRIの検査数や医療従事者の分布も踏まえたシミュレーションを行い、各重心指標を受療人口重心に近づけることで、機器配置や人員配置等の最適化が図れると考えられる。
【結語】高度医療機器の設置には多大な費用が必要であり、その運用にも人員が必要となっている。各医療機関にとっては、今後の病院運営上、設置・更新時期や要不要の検討は避られない問題となっている。これまでは医療機関単位での設置の検討が行われてきたが、今後は前述のシミュレーション等を活用して、地域全体での設置・更新を進めていくべきだと考える。