Japan Association for Medical Informatics

[2-G-2-08] NDBを用いた癌の術式別SMRの算出の検討

*Saho Kanno1, Tatsuya Noda1, Yuichi Nishioka1, Shinichiro Kubo1, Myojin Tomoya1, Tomoaki Imamura1 (1. 奈良県立医科大学公衆衛生学講座)

National Database, Health Insurance Claims , Standardized Mortality Ratio

【目的】  2016年より「がん登録推進法」に基づき「全国がん登録」が開始され、死亡率等統計データは癌医療の実態把握や国の癌対策に生かされている。これらは患者管理及び治療方針の決定において重要な情報の一つである。しかし、癌の術式別の死亡に関する指標を示したデータはない。そこでレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を使用し、術式別標準化死亡比(SMR)を算出できるか検討した。 【方法】  データはDPCレセプトと医科レセプトデータを使用。術式はKコードをもとに、癌の術式に着目した。2013年4月1日~2014年3月31日に癌の手術が施行された患者において、術後5年以内に死亡した者を抽出した。NDBにおける死亡追跡手法は転帰区分や診療行為、薬剤等情報を用いている。また、2015年生命表を用い性年齢調整を行ったSMRを術式別に5年毎に算出した。 【結果】  医科診療行為マスターのKコードにて12の身体部位に分類した。例えば、乳癌の「乳腺腫瘍摘出術」「乳腺悪性腫瘍手術」「乳腺腫瘍画像ガイド下吸引術」の、5年毎のSMRはそれぞれ155/146/140/128/127、111/130/136/136/134、505/337/269/229/203であった。また、膵臓癌の「膵体尾部腫瘍切除術」「膵頭部腫瘍切除術」の、5年毎のSMRはそれぞれ664/622/522/427/360、794/713/596/491/408であった。 【結論】  NDBを用いることで術式別SMRが5年毎に算出可能であることが明らかとなった。一方、研究の限界として病期や既往歴を考慮していない点やNDBで抽出する際の術式の定義づけや死亡患者数の追跡には課題が残存している。しかし、術式別SMRを示したデータは未だ存在せず、NDBにて比較的容易に算出可能であることが明らかとなり癌治療の実態把握において有効なデータであると考える。