一般社団法人 日本医療情報学会

[2-P-2-01] ベッドサイド滞在時間計測システムの開発

*児玉 悠希1 (1. 東京情報大学 看護学部)

Nursing Management, ICT, Beacon, RFID

【はじめに】
 看護の人的資源を効率的に活用するためには、実用的な看護の定量化指標が必要である。今回、看護を時間の尺度で定量化することを目的とし、ベッドサイド滞在時間を簡易的に測定するシステム開発に取り組んだ。

【システム概要】 
 本システムはベッドサイド滞在時間を電波通信(Zigbee方式)と、電子タグ(RFID)を併用することで簡易的に測定するシステムである。測定は電波を発するビーコンをベッドサイドに置き、看護師が受信端末を所持し業務を行うことで自動計測される。理論上では電波通信のみでベッドサイド滞在時間の測定が可能だが、電波干渉により、複数患者が近接している環境での正確な測定は現実的には困難である。そこで、電子タグを併用することで精度の向上を図った。電子タグは、ビーコン同様に患者のベッドサイドに置き、看護師が所持する端末で認証することにより患者識別が行われる。この機能を併用し、複数患者が近接する状況や電子機器が近くにある状況での測定精度の向上を図った。本システムにおいての新規性は、電波干渉を強くうける電波通信方式の近接センサに、電子タグを併用することで精度の向上を図った点にある。

【評価】
 4床部屋の模擬病室で、各ベッドを順に移動した際のベッドサイド滞在時間の測定によってシステムを評価した。電波通信のみでの測定と、電子タグを併用した場合の測定結果を自記式で記録したベッドサイド滞在時間と比較した。電波通信のみでは対象ベッドの特定ができない状況もあるなか、電子タグを併用することでデータクリーニングが行われ、測定精度が大幅に向上した。このことから電子タグの併用が有用であることが評価された。

【結論】
 電波通信方式による近接センサに電子タグを組み合わせることで、患者のベッドサイド滞在時間を簡易的に測定できる可能性が示唆された。

本研究はJSPS科研費 20K19035の助成を受けたものです。