Japan Association for Medical Informatics

[2-P-2-02] 病院・介護施設間における患者・利用者と家族が求める 看護職者間の医療情報共有についての実態調査

*Haruka Okabe1,2, Shomura Masako1, Masamichi Ogura1, Daisuke Sakurai1, Mitsuko Nakashima3 (1. 東海大学医学部看護学科, 2. 東京医療保健大学大学院看護学研究科博士課程, 3. 東京医療保健大学大学院)

Nurse, information sharing, patient, family

目的:本研究の目的は、病院や介護施設を移った患者(利用者)と家族が、看護職者が施設間で伝達・共有している医療情報について、どのように捉えているかの実態を明らかにすることである。 方法:対象は神奈川県内にある病院(300床以上)、特別養護老人ホーム、訪問看護ステーション、介護老人保健施設、特別養護老人ホームを移ったことのある患者(利用者)と家族である。調査は2020年8月~2021年5月に、独自に作成した無記名自記式質問紙を用い行った。調査項目は病院や介護施設を移った患者(利用者)と家族からみた、施設間の看護職者に求める情報共有等である。分析は項目毎に単純集計を行い、集計結果はIBM SPSS Ver26を用いた。 結果:研究協力施設の患者(利用者)または家族に152部の調査用紙を配布し34部(回答率22.4%)の回答があった。看護職者間の情報伝達が必要と回答した方は27名(79.4%)で、必要事項の上位項目は、病気や治療、投薬で、下位項目は日常生活、医療費であった。一方、伝達不足事項として挙げられた回答は多岐にわたっており、唯一複数名からの回答があったのは生活習慣に関する伝達事項であった。看護職者間の情報伝達不足を感じていないと回答した者は22名(64.7%)、伝達不足事項があったと回答した者は6名(17.6%)、無回答が7名(20.7%)であった。残り1名は重複回答があった。 考察:本調査より、約80%の方が看護職者間での情報伝達が必要と回答し、約65%の方は情報伝達不足を感じないと回答していることから、退院時看護要約が施設間での情報伝達ツールとして一定の役割を果たしていると考えられた。しかし、多岐にわたる伝達不足事項も示唆されており、個別的な視点に基づいた包括的な支援を行えるような退院時看護要約を作成する必要がある。