Japan Association for Medical Informatics

[2-P-2-04] エコーを用いた妊娠中のリウマチ患者の自己注射部位の検討

*Kaoru Nagai1, Satoshi Yamashita2,1 (1. ナゴヤガーデンクリニック, 2. 名古屋大学医学部附属病院)

Rheumatoid arthritis, injection, pregnancy, ultrasonic echo

【背景】関節リウマチ(R A)は薬剤治療が進歩し、近年では妊娠中も疾患活動性によっては生物学的製剤を継続投与し出産に至るケースもある。R Aの治療として自己注射(皮下注射)は普及している。近年、投与が簡便なペン型・オートインジェクタータイプのデバイスが普及しつつあるが妊娠中の投与部位については過去に報告がなく患者用のガイドブックにも具体的な記載はない。今回、妊娠中の投与部位についてエコーを用いて検証する機会を得たので共有したい【方法】R Aに対し、妊娠中もセルトリズマブぺゴル(商品名:シムジアオートクリックス)を投与した患者の腹部の皮下脂肪の厚みをエコーを用いて測定した。妊娠29週と33週の時点で臍部から右5㎝の部位にエコーをあて皮膚から筋膜までの距離(①)シムジアオートクリックスの投与を想定し、軽度圧を加えた状態での皮膚から筋膜までの距離(②)を測定した。【結果】29週①13.4mm②9.4mm、33週①12.6mm②9.2mmであった。妊娠経過は問題なく39週で正常分娩に至った。【考察】妊娠が進むにつれて、腹部の皮下脂肪は薄くなることがエコー上でも確認できた。皮下組織をしっかりとつまむことができれば皮下組織へ投与が可能であるが妊娠後期には皮下脂肪が薄くなり、皮膚がつまめなくなるため、皮下組織より深く針が刺入する可能性があると考えられた。今回の検証により、妊娠中は大腿に切り替える・シリンジ製剤に切り替えるなどの個別の対応が必要であると考えられた。【結論】エコーを活用し投与部位についてアセスメントを行うことができた。医師だけでなく、コメディカルもエコーを使用した評価やアセスメントする機会が増えていくのではないかと考えられる。電子カルテにもそのような活用を想定した医療情報の共有が望まれる。